セッション情報 一般演題

タイトル 36:

総胆管悪性リンパ腫の1例

演者 若原 佑平(大阪市立総合医療センター)
共同演者 根引 浩子(大阪市立総合医療センター), 山村 匡史(大阪市立総合医療センター), 小田桐 直志(大阪市立総合医療センター), 平松 慎介(大阪市立総合医療センター), 末包 剛久(大阪市立総合医療センター), 山崎 智朗(大阪市立総合医療センター), 中井 隆志(大阪市立総合医療センター), 佐々木 英二(大阪市立総合医療センター), 佐野 弘治(大阪市立総合医療センター), 川崎 靖子(大阪市立総合医療センター), 木岡 清英(大阪市立総合医療センター), 佐藤 博之(大阪市立総合医療センター)
抄録 【症例】64歳 男性.【現病歴】右上肢のしびれと脱力を主訴に当院神経内科入院. MRIで右腕神経叢の腫脹と上咽頭腫瘍を指摘され,さらに精査を進めていたところ閉塞性黄疸の出現を認めたため,当科転科となった.【転科時検査所見】AST 247,ALT 547,ALP 1418,T.Bil 4.7と肝胆道系酵素とビリルビンの上昇を認めた.CA19-9 291.2,DUPAN-2 246,SPAN-1 123と腫瘍マーカーの上昇を認めた.腹部超音波検査では肝内胆管拡張と中部胆管壁の肥厚を認めた.造影CTでは,胆嚢管合流部から膵内胆管の一部にかけて総胆管内を充満する軟部腫瘤がみられ,淡く造影を受けた.胆管周辺のリンパ節の腫脹は認めなかった.MRIでは,中部胆管にT1で低信号,T2で中間信号,DWIで著明な高信号を示す腫瘍を認めた.EUSでは中部胆管壁が低エコーに肥厚している像を認めた. ERCでは中部胆管が2cmにわたり狭窄し,これより肝側の胆管の拡張を認めた.【経過】画像診断から中部胆管癌を疑い胆汁細胞診と胆管生検を2度ずつ施行したがリンパ球や好中球などの炎症細胞浸潤のみで腺癌の診断は得られなかった.上咽頭腫瘍の生検でdiffuse large B cell lymphoma(DLBL)と診断された.また、胆管チューブステントの留置のみで胆管狭窄の改善が認められた.以上の経過より,総胆管腫瘍は悪性リンパ腫と考え,R-CHOP療法を施行した.4コース施行後のCT・MRI・EUSで胆管壁肥厚は改善しており,胆管チューブステント自然脱落後も閉塞性黄疸の再燃なく経過している.【考察】本症例の総胆管腫瘍は同部からの病理組織診断は得られていないものの,治療経過から悪性リンパ腫であったと考えられる.胆管の悪性リンパ腫の報告はきわめてまれであり,胆管癌の診断のもと手術が施行されている症例が多い.本症例も画像診断上は当初胆管癌を疑ったが,胆汁細胞診と胆管生検で腺癌の所見がなく,咽頭の腫瘍がDLBLであったことやチューブステントの留置のみで狭窄が改善するやわらかい腫瘍であったことから総胆管の悪性リンパ腫と考えられ手術を回避できた.
索引用語 胆管リンパ腫, 悪性リンパ腫