セッション情報 パネルディスカッション2 「根治治療不能進行消化器がんに対する治療選択」

タイトル P2-03:

進行胃癌に対するセカンドラインとしてのS-1 based sequential therapyの有用性

演者 森田 香織(兵庫県立西宮病院 消化器内科・腫瘍内科)
共同演者 武田 陽子(兵庫県立西宮病院 消化器内科・腫瘍内科), 楢原 啓之(兵庫県立西宮病院 消化器内科・腫瘍内科)
抄録 【背景】進行胃がんを対象としてS-1単剤を対照群とした二剤併用療法の第3相臨床試験(SPIRITS試験、GC0301/TOP-002試験、START試験)が行われた。SPIRITS試験においてCDDP+S-1併用療法はS-1単剤に比較して唯一優越性を証明し得たが、他の試験では二剤併用療法の優越性が証明されず、わが国ではCDDP+S-1療法が標準治療とされている。しかしこれら3試験における2剤併用療法群のMSTは各々13.0、12.8、13.0カ月とほぼ同等の成績である。その一方でサブセット解析では、PS・腹膜播種・標的病変など試験毎でまったく異なる結果であった。ファーストラインでS-1に併用する薬剤の違いのみならず、セカンドラインの全生存期間(OS)への関与が考えられる。【対象】1.第3相試験全体のセカンドラインを検討した。2.ファーストライン臨床試験に登録した89例を対象としてセカンドラインを詳細に検討した。3.2009年4月から2012年1月に当院に入院した胃癌310例を電子カルテから抽出し検討した。【成績】1.第3相試験におけるセカンドライン移行率は、各々72%、83%、73%であった。前2試験では二剤併用療法後のセカンドラインはタキサンが各々51%、40.6%と最多であったが、GC0301/TOP-002では二剤併用療法後はS-1単剤が27.1%であった。2.臨床試験登録例(自験例)でのセカンドライン移行率は74%であった。その内訳はS-1併用療法(SBT)40例、他剤26例であった。ファーストラインからのOSは各々15.8、13.3カ月であり、セカンドラインにおけるS-1併用療法の有用性が示唆された(p=0.020)。さらにキードラッグ(S-1、CDDP、CPT-11、タキサン)をすべて使用した患者群のOSが最も長い傾向にあった。3.日常診療における化学療法群の年齢は75歳(38~86歳)と臨床試験登録例より高齢であった。セカンドライン移行率は48%であった。その内、SBT群の予後は9.6カ月と他群より良好であった。BSC群はさらに高齢でその予後は32日と極めて不良であった。【考察】セカンドラインにおけるS-1 based sequential therapyの有用性が示唆された。
索引用語 胃癌, セカンドライン