セッション情報 一般演題

タイトル 31:

肝細胞癌、多発リンパ節転移に対してソラフェニブが奏功した1例

演者 大川 雅照(市立貝塚病院 消化器内科)
共同演者 垣田 成庸(市立貝塚病院 消化器内科), 富永 恒平(市立貝塚病院 消化器内科), 中松 大(市立貝塚病院 消化器内科), 小瀬 嗣子(大阪大学 消化器内科DELIMITER大阪大学大学院医学系研究科 総合地域医療学寄付講座), 東 正祥(市立貝塚病院 内科), 山田 幸則(市立貝塚病院 消化器内科)
抄録 症例は50代女性。20歳時HBVキャリア指摘されるも通院なく経過。201X年9月右季肋部痛自覚し近医受診、精査加療目的で当院紹介受診した。10月胸腹部造影CT、PET-CTにて肝門部に境界不明瞭な7cmの早期濃染域と両葉に2cm大の腫瘤多発、胸腹部に多数の腫大リンパ節と胸腹水の貯留を認めた。血液検査所見ではAlb3.4g/dl、T.Bil0.5mg/dl、ALT27U/l、PT71%、HBsAg(+)、HBeAg(+)、HBVDNA 6.2log/U、AFP415ng/ml、AFPL3分画87.2%、PIVKAII1060mAU/mlであった。以上よりB型慢性肝炎、肝細胞癌stageIV、多発リンパ節転移と診断した。エンテカビルを投与開始し後、利尿剤、アルブミン製剤にて胸腹水の消失と肝予備能の改善を認めた為、ソラフェニブ800mg/日を投与開始した。ソラフェニブ投与開始後day13の造影CTで肝内の多発腫瘤と胸腹部の腫大リンパ節の著明な縮小を認めた。また腫瘍マーカーはday7でAFP39ng/ml、PIVKAII4.2mAU/mlと著明な減少を認め奏功例と判断した。副作用としてはday10より軽度の掻痒を伴うgrade1の斑状丘状皮疹が出現し、抗ヒスタミン剤の内服とステロイド外用薬を開始した。day15に皮疹が全身の30%程度に増悪したため経口ステロイド薬内服を追加したところ3日後のday18には皮疹が消退した。以降外来にて経口ステロイドを漸減し中止後も皮疹の再出現を認めていない。現在までソラフェニブを減量することなく継続投与中である。進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与による奏功例は比較的稀であり若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ