セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F5-8:

肝硬変に合併した後天性血友病の一例

演者 藤本 晃士(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科)
共同演者 平松 由紀子(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 長尾 宗政(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 正木 翔(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 北村 悟(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 中井 敦史(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 山崎 友裕(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 菱谷 英里子(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 増尾 謙志(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 野本 大輔(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 梅田 誠(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 川崎 公男(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 松村 毅(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 斉田 宏(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 木村 利幸(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科)
抄録 【症例】71歳男性【主訴】紫斑、倦怠感、息切れ【既往歴】大動脈弁閉鎖不全症(大動脈弁置換術後)、狭心症(冠動脈バイパス術後)、胆石症、高尿酸血症【生活歴】喫煙:なし、飲酒:機会飲酒、アレルギー:なし【家族歴】両親:弁膜症、妹:糖尿病、弟:胃癌【内服薬】アスピリン100 mg、フロセミド20 mg、スピロノラクトン25 mg【現病歴】大動脈弁置換術後・冠動脈バイパス術後にてフォロー中に全身の紫斑、倦怠感、息切れを認め受診。血液検査にて貧血、黄疸を認め、CTにて肝硬変が疑われたため当科受診【身体所見】眼瞼結膜に貧血を認め、歯肉出血を認める。前胸部、四肢に紫斑を認める。陰嚢水腫、両側下腿浮腫を認める【血液検査】WBC 4000/µl、RBC 159万/µl、Hb 5.8/dl、Hct 19.2%、Plt 12.2万/µl、T-Bil 3.7mg/dl、D-Bil 1.2mg/dl、AST 27IU/l、ALT 8IU/l、Alb 3.6g/dl、LDH 466IU/l、PT 52%、APTT 88.1sec、HBs抗原 陰性、HBc抗体 陽性、HCV抗体 陰性、抗核抗体 陰性、抗ミトコンドリアM2抗体 陰性【CT】肝萎縮、脾腫を認め、胸腹水、陰嚢水腫を認める【経過】腹部エコーにて肝は肝硬変パターンを示したが歯肉出血、APTTの延長から血液疾患を疑ったところ、第VIII因子活性の抑制、第VIII因子抑制因子を認めたため、後天性血友病と診断した。プレドニゾロン40 mg /dayの投与を開始したところ、APTTの改善、第VIII因子抑制因子の消失を認めた。また、各種検査からは悪性腫瘍を疑う所見は認めなかった。【考察】後天性血友病の発症率は100万人に約1人と言われており、稀な疾患である。先天性血友病とは異なり、後天性血友病では第VIII因子に対する自己抗体により第VIII因子の活性が低下し、出血傾向を来す。約半数で自己免疫疾患や悪性腫瘍などの基礎疾患を有する。今回、肝硬変に合併した後天性血友病の一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 出血傾向, 貧血