セッション情報 一般演題

タイトル 27:

ステロイド投与を行った原発性胆汁性肝硬変(PBC)の2症例

演者 伊藤 麻里(NTT西日本大阪病院 内科)
共同演者 楠本 侑宏(NTT西日本大阪病院 内科), 太田 高志(NTT西日本大阪病院 内科), 山本 守敏(NTT西日本大阪病院 内科), 辰巳 信之(NTT西日本大阪病院 内科), 金子 晃(NTT西日本大阪病院 内科)
抄録 【症例1】67歳女性。1996年肝機能障害を認め、肝生検にて原発性胆汁性肝硬変と診断され、UDCA 300mgにて一旦軽快していた。2000年6月肝酵素上昇を認めたが、その際の肝生検で、薬剤性肝障害が疑われた。PSL40mgを併用し肝酵素は改善、その後PSLは漸減、中止したが肝酵素は正常範囲で安定していた。2012年6月AST 189mg/dl,ALT 249mg/dl,γGTP 105mg/dl,ALP 378 IU/mlと肝機能障害を認めた。IgG 2048,ANA80倍と上昇しており、再度肝生検を行い、自己免疫性肝炎(AIH)とのオーバーラップ症候群と診断した。(Paris基準でも該当。)PSL2mgで導入したところ、肝酵素は速やかに低下を認めた。その後PSLは漸減しているが、現在肝酵素は正常範囲で落ち着いている。【症例2】47歳女性。2006年の検診でAST 148mg/dl,ALT 184mg/dl,γGTP 535mg/dl,ALP 2086IU/ml,Tbil 1.6mg/dlと肝機能障害を指摘された。抗ミトコンドリア抗体80倍、IgM 596と高値であり、肝生検にてPBC(Scheuer分類1期)と診断された。 UDCA600mg導入により胆道系酵素は改善したものの、肝酵素の改善なく、ベザフィブラート400mg/日を追加したが、肝酵素は200前後で推移した。その後UDCA 900mg/日まで増量し、一旦肝酵素の改善傾向であったが、2012年初めよりT-bilが上昇傾向となった。再度肝酵素の上昇を認めた。肝生検を施行し、Scheuer分類3期とPBCの進行を認めた。また、門脈域に形質細胞を含む炎症細胞浸潤を中等度認めることより、AIHの合併も否定できないため、PSL20mgで導入した。肝酵素の低下は認められず、現在PSLを漸減し、肝酵素は100前後で推移しているが、T-bilは正常化している。【考察】PBCに対するステロイド療法については確立された基準がなく、肝酵素が高値でAIHのオーバーラップが疑われる場合にはステロイドが検討される。AIHのオーバーラップの診断には肝生検が重要であるが、組織学的にも診断が難しい症例が存在する。どのような症例でステロイドが効果的であるのか、今後症例の積み重ねが必要である。
索引用語 ステロイド, オーバーラップ