セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-4:

急性発症型自己免疫性肝炎の一例

演者 岩西 美奈(近畿大学 医学部 消化器内科)
共同演者 萩原 智(近畿大学 医学部 消化器内科), 鍵岡 賛典(近畿大学 医学部 消化器内科), 南 知宏(近畿大学 医学部 消化器内科), 有住 忠晃(近畿大学 医学部 消化器内科), 田北 雅弘(近畿大学 医学部 消化器内科), 北井 聡(近畿大学 医学部 消化器内科), 井上 達夫(近畿大学 医学部 消化器内科), 矢田 典久(近畿大学 医学部 消化器内科), 南 康範(近畿大学 医学部 消化器内科), 上嶋 一臣(近畿大学 医学部 消化器内科), 櫻井 俊治(近畿大学 医学部 消化器内科), 西田 直生志(近畿大学 医学部 消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例は27歳女性。8年程前より左上下肢筋力低下を自覚し当院神経内科で通院加療していた。神経疾患に対して2012年12月4日よりmPSL1000mg/日を3日間投与された。その後2013年2月18日の血液検査にて肝酵素の上昇(AST110、ALT155)が認められ、精査目的で当科紹介となった。腹部超音波検査では軽度の脂肪肝を認めるのみで、明らかな肝脾腫や胆嚢壁の肥厚などは認められなかった。肝障害の鑑別のため、ウイルス・薬剤・各種自己抗体(IgG1190、ANA(-))などの血液検査を施行したものの有意な所見は認めなかった。次いで肝生検を施行し、全体的に中心静脈周囲の肝細胞の虚脱と赤血球のうっ滞、好酸球や茶褐色調のセロイド様物を貪食した組織球の集簇などが軽微ながら認められた。自己免疫性肝炎に特徴的とされる高度のinterface hepatitisに伴うロゼット形成や形質細胞浸潤などの所見は認められなかった。肝障害の既往や他の明らかな要因が認められなかったこと、また肝障害発症の約2ヶ月前にmPSL投与歴があることなど臨床経過も考慮し、急性発症型自己免疫性肝炎と診断した。ウルソデオキシコール酸600mg/日で経過観察していたが肝機能の増悪を認めたため、PSL40mg/日を開始した。その後、肝炎は速やかに沈静化し、現在10mg/日維持投与し肝炎の再燃は認めていない。急性発症型自己免疫性肝炎の報告はまれであり、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 自己免疫性肝炎, 急性発症型