セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F4-1:

急激な肝機能低下をきたしたBudd-Chiari症候群の1例

演者 鍵岡 賛典(近畿大学 医学部 消化器内科)
共同演者 萩原 智(近畿大学 医学部 消化器内科), 岩西 美奈(近畿大学 医学部 消化器内科), 南 和宏(近畿大学 医学部 消化器内科), 有住 忠晃(近畿大学 医学部 消化器内科), 田北 雅弘(近畿大学 医学部 消化器内科), 北井 聡(近畿大学 医学部 消化器内科), 矢田 典久(近畿大学 医学部 消化器内科), 井上 達夫(近畿大学 医学部 消化器内科), 南 康範(近畿大学 医学部 消化器内科), 上嶋 一臣(近畿大学 医学部 消化器内科), 櫻井 俊治(近畿大学 医学部 消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例は20歳男性。3月中旬より発熱、乾性咳嗽、嘔気があり市販薬の総合感冒薬を内服するも症状が改善しないため近医を受診。上気道炎と診断され解熱薬処方され内服するも改善しないため当院を受診した。嘔気持続していたため4月5日当科受診となり、GOT:340U/L、GPT:92U/L、T.Bil:2.1mg/dLと上昇を認めたため、市販の総合感冒薬を内服していたとのことで薬剤性肝障害も考慮し内服薬を中止し経過観察していた。再度、外来受診時に腹部膨隆を認め、腹部エコーを施行したところ腹水貯留を認めたため精査加療目的にて当科に入院となった。肝機能障害があるため鑑別としてウイルス性・薬剤性・自己免疫性・代謝性などを疑い各種血液検査を施行したが有意な所見を得ることができなかった。またCTを施行し、小腸壁肥厚を認めたため上部消化管内視鏡検査を施行したところ食道静脈瘤を認めた。門脈圧亢進症精査目的にて造影CTを施行し、下大静脈のL2レベルから肝部下大静脈までに血栓を認め、肝静脈内にも血栓を認めたため二次性Budd-Chiari症候群と診断した。血栓形成の基礎疾患精査のため血液凝固系を精査するも有意な所見は得られなかった。側副血行路を認めたため血栓は慢性のものと考え内科的治療による血栓溶解は困難と判断し外科的に血栓除去、二期的肝移植を施行可能な施設へと転院となった。急性肝機能障害の鑑別としてBudd-Chiari症候群などの器質的疾患を含めて精査していく必要がある。
索引用語 Budd-Chiari症候群, 急性肝不全