セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年迄) |
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タイトル | Y5-7:ステロイド、免疫抑制剤投与によりde novo B型肝炎を発症し死亡に至った一例 |
演者 | 岡原 徹(大阪労災病院 消化器内科) |
共同演者 | 法水 淳(大阪労災病院 消化器内科), 木村 晋也(大阪労災病院 消化器内科), 白井 久美子(大阪労災病院 消化器内科), 鈴木 麻菜(大阪労災病院 消化器内科), 中村 昌司(大阪労災病院 消化器内科), 奥田 悠季子(大阪労災病院 消化器内科), 神下 真慶(大阪労災病院 消化器内科), 平尾 元宏(大阪労災病院 消化器内科), 山本 俊祐(大阪労災病院 消化器内科), 佐藤 雅子(大阪労災病院 消化器内科), 小森 真人(大阪労災病院 消化器内科), 吉原 治正(大阪労災病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は68歳男性。近医にて間質性肺炎に対し2012年9月よりステロイド剤、アザチオプリン内服を開始。開始時点ではHBsAb、HBcAb 測定されておらず、核酸アナログ製剤(NA)投与も行われていなかった。2013年2月頃より肝機能障害出現。HBs抗原>500、HBc抗体(+):100のため、B型肝炎ウイルス(HBV)再活性化と診断され、エンテカビル(ETV)内服を開始(0.5mg/日)。しかし、その後もT-bil、AST、ALT高値持続、PT低下持続、全身倦怠感持続するため、当院紹介受診。入院時採血では、HBs抗原(+)、HBs抗体(-)、HBe抗原(-)、HBe抗体(+)、IgM-HBc抗体(+)、HBV-DNA;6.4、ゲノタイプ:C、T-bil;11.3、D-bil;8.7、AST/ALT;540/922であり、明らかな意識障害は認めず、NH3も正常値範囲内だった。重症肝炎に対して凍結血漿投与、血漿交換を施行するも改善認めず。明らかな感染兆候がないことを確認の上、ステロイドパルス療法を開始。AST/ALTは改善傾向となったが、AFPは当院入院時の93.1より下降傾向で、9.1から改善を認めなかった。症状改善なく、第30病日に永眠された。de novo B型肝炎は、B型肝炎既感染患者が抗癌剤、免疫抑制剤等を使用した際にB型肝炎が再燃する疾患で、重症化する場合が多い。現在のB型慢性肝炎の治療ガイドラインでは免疫抑制剤、分子標的治療薬、ステロイド剤を使用する際はHBsAb、HBcAbを検査し、必要に応じてNA製剤を投与することとなっている。しかし実際の臨床現場においてはいまだこれらの検査測定頻度は施設によりまちまちであるが概して低いようである。当院でのHBsAb、HBcAb測定頻度を検討したので、この示唆に富む一症例と共に報告する。 |
索引用語 | de novo B型肝炎, エンテカビル |