セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-1:

ステロイド療法が有効であった重症型アルコール性肝炎の一例

演者 松尾 実紀(済生会吹田病院 初期臨床研修部)
共同演者 島 俊英(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 奥田 佳一郎(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 安田 律(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 旭爪 幸恵(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 堀元 隆二(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 加藤 隆介(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 大矢 寛久(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 天野 一郎(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 関 耕次郎(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 千藤 麗(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 松本 淳子(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 田中 いずみ(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 澤井 直樹(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 水野 智恵美(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 水野 雅之(済生会吹田病院 初期臨床研修部), 岡上 武(済生会吹田病院 初期臨床研修部)
抄録 【症例】61歳男性【飲酒歴】エタノール換算量25g/日を40年間、受診7ケ月前よりエタノール換算量85g/日に増加した。【現病歴】平成23年11月頃より飲酒量が増加した。平成24年1月より腹部膨満感と食欲不振が出現し同年6月に近医を受診した。エコーで腹水、肝内胆管拡張、胆泥を、血液検査にて白血球とT.Bilの増加を指摘され、胆嚢炎の疑いで当院へ紹介された。【現症】体温37.0度、脈拍101回/分、血圧100/73mmHg、黄疸を認めず。腹部膨隆、右肋骨下縁に弾性硬の肝臓を2横指触知、脾臓は触知せず。下腿浮腫は認めず。【検査所見】AST151 IU/L,ALT37 IU/L,γ-GTP680 IU/L,T.Bil 2.9 mg/dL,Alb2.3 g/dL,CRP10.2 mg/dL,WBC28700/μ,Hb9.8 g/dL,MCV105.2 fl,Plt19万/μL,IgG2616 mg/dL,IgA824 mg/dL,フェリチン1540.0 ng/mL。腹部造影CTで肝腫大と中等度の腹水を認めた。【経過】アルコール性肝炎と診断し、入院の上、禁酒と対症療法で経過観察していたが、WBC2万以上が持続し、T.Bil 5.1 mg/dL,PT 42%まで悪化を認めた。重症型アルコール性肝炎と診断し第14病日よりmPSL1g 3日間のステロイドパルス療法を開始し、その後PSL30mgの内服を継続した。その後、AST,WBC,T.Bil,PTは改善し、PSLを漸減したが再燃なく経過した。入院中に測定した炎症性サイトカインはIL-6 30.8 pg/mL,IL-8 528 pg/mL,TNF-α3.9 pg/mLと高値であった。肝炎が改善したところで、平成24年9月に腹腔鏡下肝生検を施行した。肝臓は軽度萎縮しており、肝表面に微小結節を認めた。組織では肝細胞のballooningとKupffer細胞の増生を認め、アルコール性肝炎の遺残と思われた。また、線維化が強く偽小葉を形成しており、4型コラーゲン・7S 23 ng/mLと肝線維化マーカーも高値であったことより、初期のアルコール性肝硬変がベースにあったと考えられた。【結語】一般的にアルコール性肝炎は禁酒で改善を認めるが、著明な白血球増加を示し、禁酒入院後も悪化した重症型アルコール性肝炎に対して、ステロイド治療で軽快を認めた1例を経験したので報告する。
索引用語 ステロイド療法, 重症型アルコール性肝炎