セッション情報 シンポジウム1 「ウイルス性肝炎治療の最前線」

タイトル S1-13:

テラプレビル三剤併用療法におけるエリスロポエチン介入の有効性

演者 外山 隆(国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科)
共同演者 石田 永(国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科), 三田 英治(国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科)
抄録 【目的】テラプレビル(TVR)三剤併用療法時の副作用として高度の貧血があり、そのため多くの症例でリバビリン(RBV)やTVRの減量が行われている。今回我々は三剤併用療法中に貧血を呈した症例を対象に低容量エポエチンアルファ(EPO)による介入を行い、a:貧血の制御、b:薬剤アドヒアランスの保持、c:治療効果、について検討した。【方法】対象は当院にて三剤併用療法を開始したC型慢性肝炎症例で、文書による同意が得られた22例である。毎週採血を行い、Hb値が投与開始前に比べ、2 g/dL以上3 g/dL未満低下した場合にはEPO 12 KIU、Hb値が3 g/dL以上の低下時にはEPO 24 KIUをPeg-IFNと同時に投与した。また全例にITPA SNPを測定し、貧血との関連を検討した。【成績】22例の内訳は男:女=15:7、平均年齢 55歳、治療前のHb 14.9(12.8-17.1)g/dL、ITPA SNPはCC:non-CC = 14:8であった。前治療歴は初回/再燃/無効 = 5/8/9であった。a:治療開始後4/8/12週時点でのHb値の低下は2.5/2.9/3.0 g/dLであった。ITPA SNP別の検討ではCC群の方が早期にHb低下を来したが、EPO投与により最終的にはHb低下は両群で同等となった。三剤併用期間(~12週)の平均総EPO投与量は、CC群で138±60 KIU、Non-CC群で83±29 KIUであり、全例いずれかの時点でEPO投与が行われた。EPO投与による明らかな有害事象は認めなかった。b:3症例でHb値が10 g/dL未満となり、RBVを減量した。その他19例では貧血を理由としたTVRやRBVの減量はなかったが、腎機能低下により2症例でTVR投与が中止された。RBVのアドヒアランスはCC群で97.4%、non-CC群で97.9%といずれも極めて良好であった。c:SVR は 22例中17例(77%)であった。【考案】貧血の程度に応じたEPO投与により、三剤併用療法の副作用である貧血は軽減され、RBVの高いアドヒアランスを維持することが可能となった。また、ITPA SNPがCC群においてより多くのEPO投与量を必要とした。【結論】三剤併用療法時の貧血に対して、EPO投与による介入は貧血の軽減を導き、薬剤アドヒアランスを維持する上で有効であると考えられた。
索引用語 三剤併用療法, エリスロポエチン