セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F3-8:

抗TNF-α抗体が著効したクローン病回腸膀胱瘻の1例

演者 平松 敦(市立川西病院 内科)
共同演者 堅田 龍生(市立川西病院 内科), 亀山 竹春(市立川西病院 内科), 北田 学利(市立川西病院 内科), 西林 宏之(市立川西病院 内科), 姫野 誠一(市立川西病院 内科)
抄録 【症例】49歳、男性【主訴】排便時痛・気尿・尿混濁【現病歴】平成23年3月中頃に38℃の発熱あり、この頃より排尿時痛・気尿・尿混濁を認め、当院泌尿器科受診された。尿沈査では白血球50~99/HPFであった。骨盤MRIにて回腸膀胱瘻を疑われ、4月当院内科紹介となる。下部消化管内視鏡検査では、回腸末端にcobble stone appearance、上行結腸に縦走潰瘍を認めた。生検組織では、小円形細胞を主体に少数の好酸球、間質性細胞を伴う炎症を認め、一部にリンパ組織と肉芽腫性変化を認め、クローン病として矛盾しなかった。又、小腸造影にて回腸末端に狭窄を認めた。以上より、小腸大腸型クローン病と診断した。膀胱鏡にて膀胱右側に瘻孔を認め、クローン病回腸膀胱瘻を疑った。6月3日より抗TNF-α抗体(アダリムマブ)投与を開始した。1回の投与にて排尿時異和感と尿混濁も消失し、尿沈査では白血球1~4/HPFに改善した。5回投与にて同年8月の骨盤MRIでは、小腸と膀胱の癒着は残っているが、回腸膀胱瘻は閉鎖されていた。同年9月の下部消化管内視鏡検査ではクローン病は寛解期と考えられた。平成24年10月の膀胱鏡にては、瘻孔は閉鎖されていた。アダリムマブの維持療法を継続し、平成25年5月現在、再燃・再発は認めていない。【結語】抗TNF-α抗体が著効したクローン病回腸膀胱瘻の1例を経験した。【考察】以前より、クローン病回腸膀胱瘻に対し手術が選択される事も多かったが、再燃・再発も多く、最近は抗TNF-α抗体が有効であるとの報告も散見される様になった。本症例もアダリムマブが瘻孔閉鎖に有効であったと考られ、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 抗TNF-α抗体, クローン病回腸膀胱瘻