セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F4-2:Denver腹腔-静脈シャント術により7年を超える長期生存が得られたHCV陽性肝硬変の1例 |
演者 | 山縣 洋介(一般財団法人住友病院) |
共同演者 | 吉田 有里(一般財団法人住友病院), 常松 日奈子(一般財団法人住友病院), 向井 章(一般財団法人住友病院), 黒川 三佳(一般財団法人住友病院), 岸田 修(一般財団法人住友病院), 山田 晃(一般財団法人住友病院) |
抄録 | 症例は76歳男性。HCV陽性の肝硬変で外来フォローしていた。2004年12月および2005年8月には、肝癌に対してラジオ波焼灼術(RFA)を行っている。また2005年3月には食道静脈瘤に対してEISを行っている。2005年4月ころから多量の腹水貯留を認めるようになった。塩分制限や利尿剤に反応せず、頻回の腹水排液や腹水濃縮濾過再静注法(CART)にても改善せず、明らかなquality of life(QOL)の低下を認めた。肝性脳症は認めないが、腹水多量で血中アルブミン2.1g/dl、総ビリルビン3.0mg/dl、プロトロンビン時間58%であり、Child-Pugh分類で12点(グレードC)であった。細菌性腹膜炎はなく、血中・腹水中エンドトキシンも陰性であることなどからDenver腹腔-静脈シャント術の適応と判断し、2005年12月に留置術を施行した。術後にFDPの上昇などを認めたものの、DICに準じた治療で改善し、腹水のコントロールも良好であったため、約1ヶ月後に退院となった。退院後、肝性脳症などにより2010年までの5年間に、合計8回の入退院を繰り返したが、それ以降はアンモニアのコントロールも良好となり、現在も外来通院を続けている。肝萎縮が高度のため、腹部エコーで肝の描出は不良で、2007年以降はクレアチニン1.8mg/dl、eGFR30.3ml/min/1.73m2と腎機能低下を認めるため造影CTやMRIを撮影していない。腫瘍マーカーは2011年ころから徐々に漸増しており、2013年5月にはAFP1188ng/ml、PIVKA-II172mAU/mlとなっているが、希望にて経過観察のみとしている。Denver腹腔-静脈シャント術は、内科的治療に抵抗性の難治性腹水に対して適応され、腹水の劇的な改善により、患者のQOLは著しく高まる。しかし、重篤な合併症により術後早期に死亡する例もあり、症例ごとに慎重な適否の判定が必要となる。今回我々は、HCV陽性肝硬変で肝癌治療後の難治性腹水患者に対して、Denver腹腔-静脈シャントを留置し、7年を超える生存例を経験したので報告する。 |
索引用語 | 難治性腹水, Denver腹腔-静脈シャント術 |