セッション情報 一般演題

タイトル 9:

出血性ショックを来し、内視鏡的切除を施行した十二指腸GISTの一例

演者 井上 浩一(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科)
共同演者 西山  範(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 滋野 聡(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 鳥住 知安記(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 阿部 友太朗(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 井上 貴功(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 大西 幸作(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 岩谷 修子(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 水本 塁(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 渋川 成弘(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 石井 修二(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 葛下  典由(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 春名  能通(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科), 井上  敦雄(大阪府立急性期総合医療センター 消化器内科)
抄録 【目的】十二指腸Gastrointestinal Stromal Tumor(GIST)は本邦では比較的稀な疾患である。今回我々は消化管出血を契機に発見され、かつ内視鏡的切除を施行した十二指腸GISTを経験したので報告する。【症例】78歳男性、当院心臓内科に急性心筋梗塞で入院中に突如黒色便出現し、当科紹介となった。同日緊急上部消化管内視鏡検査を施行し、十二指腸下行脚に約30mm大の粘膜下腫瘍を認め、病変陥凹部から湧出性の出血を認めた。同部位に内視鏡的止血術(高周波凝固法)を行い、止血を得た。しかし第2病日に大量の下血を認め、再度ショック状態に陥り、内視鏡検査施行したところ、同部位より噴出性出血を認め、再度内視鏡的止血術試みるも完全な止血は困難であった。胸腹部造影CT撮影し、病変部からのextravasasionを確認し得た。また腫瘍は造影効果を認め、他臓器に転移所見は認めなかった。内視鏡所見上GISTが考えられ、外科的完全切除が望ましいと考えられたが、冠臓脈に3枝病変を抱え、耐術能の面から外科的手術は困難であると判断。同部位にIVRによる止血を試みた。血管造影では前、後上膵十二指腸動脈の十二指腸枝に明らかなextravasasionは認められなかったが、腫瘍濃染を認め、腫瘍に対する責任血管と考えた。ジェルパートにて血管塞栓術を施行し、止血を得ることができた。しかし1.再出血の可能性がある、2.冠動脈疾患加療での抗血小板薬が使用困難、3.血管塞栓施行による腫瘍部が壊死により病理学的診断が不能になる等の問題により、第3病日に内視鏡的粘膜切除術を行った。留置スネアで基部を絞扼後、スネアで切除した。分割切除となるも、内視鏡上完全切除と判断。術後出血なく、貧血の進行も認めなかった。経過良好にて心不全治療後の第24病日退院となった。切除標本から、GISTと診断、核分裂像はほとんど認めず(2/50 hyperfields),CD117,CD34、S-100蛋白は何れも陰性であり、GISTのリスク分類はlow gradeであった。【結語】出血を契機に発見され、内視鏡的切除を施行した十二指腸GISTを経験した。若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 GIST, EMR