セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F4-8:

HCV陽性肝硬変に対する3剤併用療法中にアカシジアを発症した1例

演者 小笠原 千尋(一般財団法人住友病院)
共同演者 吉田 有里(一般財団法人住友病院), 常松 日奈子(一般財団法人住友病院), 向井 章(一般財団法人住友病院), 黒川 三佳(一般財団法人住友病院), 岸田 修(一般財団法人住友病院), 山田 晃(一般財団法人住友病院)
抄録 症例は64歳女性。既往歴に特記すべきものなし。2011年9月からHCV陽性肝硬変にて他院通院中であったが、今後の治療法相談のため、同年12月に当院紹介受診となった。初診時Hb14.1g/dl、AST69IU/l、ALT67 IU/l、Alb3.9g/dl、Plt5.2万/μlと血小板低下が著明で、HCVはセロタイプ1型でウイルス量は7.3logIU/ml、IL28B SNPs解析はメジャーホモ接合体であった。肝線維化の進行が強く疑われたため、年齢も考慮して、ペグインターフェロン・テラプレビル・リバビリンによる3剤併用療法の適応と考えた。脾摘術の同意が得られなかったため、脾動脈塞栓術(PSE)を先行して行った。2012年6月から3剤併用療法を開始した。治療前の血小板は16万/μlであった。治療開始4週目ころから焦燥感やいらいら感の訴えがあり、診察中もさかんに足腰をさすったり鎮座不能な症状が出現した。精神疾患が疑われたため当院メンタルヘルス科を受診、ペグインターフェロンが原因と考えられるアカシジアと診断した。ただちに3剤併用療法を中止し、安定剤内服などで約2ヶ月で軽快した。アカシジアは錐体外路症状による静座不能症状のことを言い、抗精神薬による副作用として出現する場合が知られているが、インターフェロンも原因薬剤としてあげられている。主な症状は、座ったままでいられない、じっとしていられない、下肢のむずむず感の自覚症状などであり、下肢の絶え間ない動きや姿勢の頻繁な変更があり、不安、いらいら感、不眠などの精神症状が出ることもある。本邦でのインターフェロン使用に伴うアカシジア発症の報告は、B型慢性肝炎での報告例を散見する程度である。今回、HCV陽性肝硬変に対する3剤併用療法中にアカシジアを発症した症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 3剤併用療法, アカシジア