セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y8-1:

超音波内視鏡下穿刺吸引法により診断し得た乳癌膵転移の1例

演者 若松 周司(市立吹田市民病院 消化器内科)
共同演者 湯口 清徳(市立吹田市民病院 消化器内科), 澤村 真理子(市立吹田市民病院 消化器内科), 笹川 廣和(市立吹田市民病院 消化器内科), 長生 幸司(市立吹田市民病院 消化器内科), 井上 信之(市立吹田市民病院 消化器内科), 黒島 俊夫(市立吹田市民病院 消化器内科), 柳沢 哲(市立吹田市民病院 外科)
抄録 【症例】70歳代、女性【現病歴】2011年6月、左乳房腫瘤を自覚し前医を受診した。腫瘤部の穿刺吸引細胞診は、invasive ductal carcinoma, scirrhous type. f, ly(+), v(-), nuclear grade 2, ER (+), PgR (-), HER2 (1+)であった。胸腹部造影CT検査では乳癌以外に膵管および胆管の拡張と胃壁肥厚を認めたが、膵腫瘤は明らかではなかった。骨シンチグラフィでは胸骨に異常集積があり、乳癌の骨転移と考えられた。上部消化管内視鏡検査で5型病変を認め、胃生検組織診断はadenocarcinoma, ER (+) , PgR (-) , HER2 (-) であり、乳癌の胃転移と診断された。ERCPでは下部胆管に狭窄像を認めたが、胆管狭窄部の擦過細胞診や胆汁細胞診は陰性であったため、閉塞性黄疸に対して胆管プラスチックステント留置が施行された。同年7月乳癌に対する治療目的に当院外科に紹介となり、化学療法を施行されていたが、肝胆道系酵素の上昇を認めたため、2012年10月当科紹介受診となった。【経過】腫瘍マーカーはCEA 388ng/mL、CA15-3 1520U/mL、DUPAN-2 270U/mLと高値であった。CT、MRIでは膵頭部に腫瘍性病変を認めず、PETでも同部に異常集積を認めなかった。しかし超音波内視鏡検査では膵頭部に17mm大の境界不明瞭で内部不均一な低エコー腫瘤を認め、確定診断のため超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)を施行した。組織診断はadenocarcinomaであり、免疫染色でER (+) , PgR (-) , HER2 (-)であったことから乳癌の膵転移と診断した。【考察】転移性膵腫瘍は稀であり、その中でも乳癌の膵転移は非常に稀である。今回われわれは、CT、MRI、PETは診断がつかず、EUS-FNAによって診断し得た乳癌膵転移の1例を経験したので若干の考察を含めて報告する。
索引用語 乳癌膵転移, EUS-FNA