セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y6-7:

若年発症の成人T細胞性白血病(ATL)による急性肝不全の一例

演者 辻 裕樹(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科)
共同演者 上嶋 昌和(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科), 美登路 昭(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科), 吉田 太之(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科), 守屋 圭(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科), 堂原 彰敏(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科), 関 建一郎(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科), 中村 麻衣子(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科), 石田 光志(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科), 吉治 仁志(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科), 西村 公男(高の原中央病院 消化器内科), 福井 博(奈良県立医科大学附属病院 消化器・内分泌・代謝内科)
抄録 【症例】28歳、女性【現病歴】平成25年9月中旬から全身倦怠感が出現し、9月25日に尿の濃染と発熱を認め、その後家族に眼球黄染を指摘され、10月2日に前医を受診した。血液検査で著明な肝機能障害と黄疸を認め、また少量の腹水貯留を認めたため、急性肝炎を疑われ同日入院となった。入院後白血球と血小板が徐々に低下し、腹水の増加を認めた。10月6日の血液検査でPT活性が28%と低値であり、新鮮凍結血漿(FFP)の投与(2単位/day)を開始するも10月8日は27%と回復を認めず、急性肝不全が疑われ、10月9日に当科に転入院となった。【入院後経過】当科入院時、PT活性は40%以下であったが肝性脳症を認めず、急性肝炎の重症型と判断し、FFPの投与を継続した。血小板は1万/μlまで低下し、播種性血管内凝固(DIC)傾向と考え、DICの治療も開始した。HBVは既感染であったが再活性化を示唆する所見はなく、その他のウイルスマーカーや自己抗体も陰性であった。10月10日より末梢血に異形リンパ球が出現し、白血球と血小板も低値が続くため骨髄検査を施行したところ、血球貪食像を認めた。また、同日より胸水増加に伴い呼吸状態が増悪したため、ICU管理を開始した。FFPの投与を10単位/dayで継続したが、PT活性は40%以下を推移し、さらに10月13日より肝性脳症が出現・進行し、末梢血中の異型リンパ球も急増した。一方、10月12日にHTLV-1抗体陽性と判明したが、弱陽性であり、若年でもあったためATLを積極的には疑わなかったが、10月15日に骨髄所見でT細胞系の細胞の増加が判明したため、ATLによる急性肝不全を考えた。この時点で肝性脳症4度となり、末梢血中の白血球はほぼ異常リンパ球に占められ、10月16日に永眠された。その後HTLV-1のモノクローナルな増殖が判明し、ATL発症と診断できた。【考察】ATLは臓器侵襲性が強い疾患であり、剖検例では56%に肝浸潤を認めたとの報告がある。ATLは通常50年以上の潜伏期間を経て発症するとされ、若年発症のATLはまれである。以上、急激な経過をたどったATLによる急性肝不全の症例を経験したので報告する。
索引用語 急性肝不全, 成人T細胞性白血病