セッション情報 パネルディスカッション1 「肝・胆・膵腫瘍性病変早期発見に向けた取り組み」

タイトル P1-11:

膵腫瘍の診断における造影EUSの有用性

演者 江崎 健(神戸大学 消化器内科)
共同演者 塩見 英之(神戸大学 消化器内科), 小林 隆(神戸大学 消化器内科), 有坂 好史(神戸大学 消化器内科)
抄録 【背景・目的】EUSは膵における小病変の描出に優れた検査法として知られている。しかし、膵癌と腫瘤形成性膵炎の鑑別や慢性膵炎等で背景膵に変化がみられる場合の膵癌早期発見においては、いまだ困難な症例も存在している。近年、EUS診断能のさらなる向上のために造影ハーモニックEUS(CE-EUS)が導入され、今回その有用性について検討した。【対象・方法】当院で2010年6月~2013年5月に行ったEUS(Bモード)検査において低エコー腫瘤として描出された病変のうち、CE-EUSを施行した膵癌(PC)28例、腫瘤形成性膵炎(MFP)19例、膵内分泌腫瘍(PNET)14例、限局型自己免疫性膵炎(f-AIP)3例の計64例に対してCE-EUSを行った。またPC14例、MFP6例、PNET6例の計26例においては病変部と病変外膵実質にROIを設定し、造影程度のTime intensity curve(TIC)を作成し、病変部の膵実質に対する60秒後のintensity比を算出し各疾患群で比較検討した。【結果】造影モードで60秒後の血流を評価したところ、PCは28例中24例がhypovascular、4例がisovascular、MFP・f-AIPは22例中6例がhypovascular、16例がisovascular、PNETは14例中1例がhypovascular、4例がisovasucular、9例がhypervascular、f-AIPは3例中3例がisovascularであった。PCをhypovascular、MFPとf-AIPをisovascular、PNETをhypervascularとした場合、PC診断の感度は85.7%、特異度80.6%、正診率82.8%で、MFP・f-AIPでは感度80.0%、特異度81.0%、正診率78.1%、PNETでは感度64.3%、特異度100%、正診率92.2%であった。一方TICを用いたintensity比では、PC:0.51±0.21、MFP:0.80±0.21、PNET:1.06±0.43であり、PCの値はMFP・PNETに比して有意に低値であった(p<0.05)。【考察】造影ハーモニックEUSは膵腫瘤の発見や質的診断に有用であり、TIC を用いた定量的評価を付加することで、膵腫瘤性病変の良悪性の鑑別診断能がさらに向上する可能性が示唆された。
索引用語 膵腫瘍性病変, 造影EUS