セッション情報 シンポジウム1 「ウイルス性肝炎治療の最前線」

タイトル S1-11:

C型慢性肝炎に対するTelaprevir3剤併用療法の抗ウイルス効果と副作用対策

演者 松浦 敬憲(兵庫県立加古川医療センター)
共同演者 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センター), 廣畑 成也(兵庫県立加古川医療センター), 八幡 晋輔(兵庫県立加古川医療センター), 白川 裕(兵庫県立加古川医療センター), さか本 喜雄(兵庫県立加古川医療センター), 大内 佐智子(兵庫県立加古川医療センター), 堀田 和亜(兵庫県立加古川医療センター)
抄録 【目的】本邦でのC型慢性肝炎に対する標準治療は、Telaprevir (TVR)を含めた3剤併用療法であり、市販後調査(2013年3月現在)ではSVR(12週後)が82.3%と奏功している一方で、重篤な副作用も懸念されており完遂困難例も少なくない。今回我々は当院で3剤併用療法を行った25例における抗ウイルス効果及び副作用の検討を行った。
【対象】2012年4月~9月までに3剤併用療法を導入した25例を対象とした。年齢中央値は60歳で、男性/女性は13/12例。治療歴は初回/再燃/無効が10/11/4例で、IL28BはTT/TGが21/4例、Core70はW/M/不能が17/7/1例、ITPAはCC/CA/不能が21/3/1例であった。
【成績】TVR開始量は適正使用ガイドラインに沿って決定し、12例で1500mgに減量して開始した。全例の薬剤服薬率はTVR 97%、PegIFN 88%、RBV 56%であった。eRVRは88%(22/25)で、SVR12の達成率(以下SVR率)は92%(23/25)であった。IL28B別ではTT例で100%、TG例で50%(2/4)であった。初回投与例、前治療再燃例のSVR率はともに100%であったが、ほとんどがTTで、TGの2例はCore70がWであった。前治療無効例のSVR率はpartial responder 67%(2/3)、null responder 0%(0/1)で、SVRとなった2例はTT、non-SVRの2例はTGであった。副作用は腎障害の頻度が高く、投与中のeGFR最低値が50未満へと低下した例では、投与開始1週間でのeGFR低下量が有意に多かった(p=0.045)。貧血に関しては、投与開始8週で3.6±1.2g/dl低下し、eGFR最低値との関連が見られ、23例でRBVを減量・中止、1例で輸血を必要とした。また、皮膚障害は22例に認められ、うち2週間以内に20例が発現、grade2以上が40%(10/25)で6例でステロイド内服が必要であった。36%(6/25)の症例で有害事象のため入院加療を要したが、3剤とも中止した症例はなかった。
【結語】3剤併用療法の治療効果には、前治療歴とIL28Bが関与する。また、投与初期のeGFR低下例では、経過中の腎機能低下や重度の貧血回避のために早期にTVR・RBV減量を行い、服薬率を確保しながら治療完遂を目指す必要がある。
索引用語 慢性C型肝炎, Telaprevir