セッション情報 パネルディスカッション2 「根治治療不能進行消化器がんに対する治療選択」

タイトル P2-10:

Sorafenib投与中に増悪を認めた切除不能進行肝癌に対する治療戦略

演者 竹田 治彦(大阪赤十字病院 消化器内科)
共同演者 西川 浩樹(大阪赤十字病院 消化器内科), 木村 達(大阪赤十字病院 消化器内科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院 消化器内科)
抄録 【背景/目的】現在切除不能進行肝癌に対するsorafenib療法後の二次治療についてはエビデンスがなく,増悪(PD)と判定された症例においてsorafenibをいつまで継続すべきかについては一定の見解が得られていない. 今回我々は, 実臨床におけるsorafenib後治療の実態につき明らかにすることを目的とし,当科での経験症例を後ろ向きに検討した.【方法】対象は当科で2013年3月までにsorafenibを導入した切除不能肝癌129例. 抗腫瘍効果判定を原則開始1-2カ月後にmRECISTにて行い, 初回効果判定で増悪(PD)と診断した症例のその後の治療選択につき、sorafenib継続群, 他治療切り替え群に分けて、それぞれの治療経過につき解析した.【結果】投与症例の内訳は男:女=102:27例, 年齢中央値71歳. Stage2/3/4A/4B=7/41/25/56例. 開始理由はTACE不応/TACE不能/遠隔転移/その他=47/17/54/11例. 初回効果判定はCR/PR/SD/PD/NEの順に0/9/43/42/35例, 最良効果判定は1/11/43/39/35例. 中止理由は有害事象56例,病勢悪化53例,その他20例. PD中止後,他治療切り替え群の内訳は再TACE 8例, 他の全身化学療法10例(治験含), 放射線2例(重複含)で, sorafenib継続群が16例, 無治療群10例であった. 継続群の中で3カ月後にCR1例,PR2例を得, 半年以上SDを維持した症例が3例存在した.【考察】sorafenib投与対象患者の背景は多様であり,増悪後の治療成績を各群で単純比較することはできない.当科では予後規定因子あるいは病勢の主座が肝内病変の症例と肝外病変の症例に分け,前者のうちTACE不能例以外は再度TACEを考慮, 後者では治験参加可否を判断した上,参加対象外であれば保険適用内のUFT,あるいは有害事象が許容できればsorafenibの継続投与を考慮してきた. ただPD判定後の継続投与の効果については明らかでなく今後さらに検討が必要である. 一方でsorafenib中止後TACEを行い十分な効果を得た症例も存在する。エビデンスの確立していないPD後治療については症例毎に病勢の主座を認識した上で治療法を選択し、個々に応じた集学的治療を行うのが望ましい.
索引用語 sorafenib, 増悪