セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F1-7:

急速伸展した多発骨転移に対し放射性ストロンチウム投与にて病勢コントロールが得られた進行胃癌の一例

演者 徳田 貴昭(大阪大学 消化器内科)
共同演者 山口 利朗(大阪大学 消化器内科), 新崎 信一郎(大阪大学 消化器内科), 加藤 元彦(大阪大学 消化器内科), 山田 拓哉(大阪大学 消化器内科), 名和 誉敏(大阪大学 消化器内科), 重川 稔(大阪大学 消化器内科), 江崎 久男(大阪大学 消化器内科), 宮崎 昌典(大阪大学 消化器内科), 薬師神 崇行(大阪大学 消化器内科), 西田 勉(大阪大学 消化器内科), 巽 智秀(大阪大学 消化器内科), 平松 直樹(大阪大学 消化器内科), 辻井 正彦(大阪大学 消化器内科), 竹原 徹郎(大阪大学 消化器内科)
抄録 症例は40歳代女性。2012年8月に左頚部の腫張と圧痛、倦怠感を認め近医を受診し、頭頚部CTにて左頸静脈血栓が疑われ、同月末に当院神経内科・脳卒中科紹介となった。9月上旬、精査のため同科に入院、ヘパリンを投与開始された。静脈血栓症の原因として悪性疾患が疑われ、上部消化管内視鏡検査を施行したところ胃前庭部前壁に30mm大の0-IIc病変を認めた。同部からの生検で組織診はadenocarcinoma、por-sig>tub2、HER2(-)であった。PET-CTでは傍大動脈リンパ節,腸間膜、右大腿骨頸部や胸腰椎にFDGの多発集積を認めた。以上より進行胃癌、多発骨転移、腹膜播種および腹腔内リンパ節転移、cStageIV(cT3N3M1)と診断した。9月末に当科転科となりS1+CDDPによる化学療法を開始した。入院後もALPの上昇および腰部から右下肢に骨転移による癌性疼痛が強くオピオイドも効果不十分であり、右大腿骨頚部の病的骨折予防および疼痛緩和目的で放射線療法 30Gy/10frを施行し、ゾレドロン酸の投与も併用した。10月末に撮影したCTでは腹腔内リンパ節転移、多発骨硬化像に著変みられなかったが、骨シンチでは依然多発骨集積を認めALPの上昇傾向を認めた。上記治療では病勢のコントロールは困難でADLの低下もきたしていることから11月中旬、化学療法を一旦中断し放射性ストロンチウム(89Sr)の投与を行った。投与後1カ月程度で徐々に痛みは軽減し、オピオイドのレスキュー投与頻度は減少した。89Sr導入後より、ALPや各種腫瘍マーカーは低下傾向を認めたが、12月に施行したCT検査ではSDであるが腹腔内リンパ節転移にやや増大を認め、2013年1月に骨シンチでは概ね異常集積は減少がみられたことから、同月より化学療法を再開した。その後転居のため他院にて化学療法を継続中である。今回我々は多発骨転移を来たした胃癌に対して化学療法に加えて89Srを併用し、病勢コントロールおよび疼痛緩和効果が得られた一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 ストロンチウム, 多発骨転移