セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y6-1:

C型肝炎ウイルス(HCV)が自然消失した長期IFN治療後再燃例

演者 石田 光志(奈良県立医科大学 第三内科)
共同演者 美登路 昭(奈良県立医科大学 第三内科), 森岡 千恵(奈良県立医科大学 第三内科), 賀屋 大介(奈良県立医科大学 第三内科), 西村 典久(奈良県立医科大学 第三内科), 佐藤 慎哉(奈良県立医科大学 第三内科), 福井 博(奈良県立医科大学 第三内科)
抄録 【症例】66歳女性【主訴】C型慢性肝炎治療希望【現病歴】1992年、献血時にHCV抗体陽性を指摘され、1993年に6か月間のインターフェロン(IFN)治療を他院で施行されたが無効であった。小柴胡湯を半年間投与されたが、その後は経過観察された。2002年8月の血液検査にて肝機能の悪化を指摘され当科紹介となる。HCV genotypeはIb、HCV-RNAは850 KIU/ml以上であった。同年11月から6か月間IFNα/リバビリン(RBV)併用療法を施行され、肝機能は改善した。HCV-RNAは、治療開始4か月で陰性化したが治療終了後1か月で陽性となった。以後はUDCA300mg/dayを投与され、肝機能は正常範囲で推移した。2009 年6月、PEG-IFNα-2b/RBV療法を希望し、導入目的で当科入院となった。【既往歴】1980年急性肝炎、2000年Basedow病【血液検査】WBC 4000/ul, RBC 379万μl, PLT 16.2万μl, AST 22 U/L, ALT 20 U/L, ALP 242 U/L, γ-GTP 16 U/L, Ch-E 328 U/L, T-Bil 0.6 mg/dl, ZTT 5.3 KU, ヒアルロン酸 67.5 ng/ml, HCV-RNA 7.0log IU/ml【肝生検】A1,F1【経過】2009年6月に,PEG-IFNα-2b/RBV併用療法を開始し、25週目でHCV-RNAは陰性化した。ALTは治療前から正常範囲内で推移した。本症例は難治症例と考えられたためPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を72週間継続し,さらに, PEG-IFNα-2aを単独で追加投与した。同剤投与中もHCV-RNAは陰性を維持し、139週目の2012年2月に治療を終了した。HCV-RNAは、治療終了時には検出されなかったが,2ヶ月後の2012年4月に5.7logIU/mlと上昇した。2012年5月にはALTも96 U/Lと上昇したため、同月よりUDCA 600 mg/dayの内服が開始された。ALTは同年7月に正常化、8月にはHCV-RNAも陰性化し、2013年3月までALTは正常範囲で、HCV-RNAも陰性を維持している。【考察】C型急性肝炎後の早期のHCV-RNA自然消失率は約20~30%と考えられているが、長期持続感染後のウイルスの自然消失は稀であるとされている。今回われわれはC型慢性肝炎に対する長期IFN治療終了後に再燃をきたしたが,一時的な肝機能の増悪と共にHCVが自然消失した興味深い症例を経験したので報告する。
索引用語 C型肝炎, 自然消失