セッション情報 |
シンポジウム2 「原因不明消化管出血の診断と治療の最前線」
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タイトル |
S2-13:当院における原因不明消化管出血の検討
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演者 |
北本 博規(神戸市立医療センター) |
共同演者 |
福島 政司(神戸市立医療センター), 井上 聡子(神戸市立医療センター) |
抄録 |
【目的】バルーン内視鏡、カプセル内視鏡(capsule endoscopy;CE)の出現で、原因不明消化管出血(obscure gastrointesinal bleeding;OGIB)の診断、治療は進歩している。当院では2003年よりダブルバルーン内視鏡(double balloon endoscopy;DBE)、2008年よりCEを導入し、小腸疾患の診断、治療を行っている。今回我々はCE導入後DBEにて観察しえたOGIBの原因疾患を調査し、検討を加えた。【方法】対象は、2008年6月から2013年4月までにOGIB精査として、CEとDBEを施行した115症例191件とDBEを施行された30症例46件の合計145症例237件(男性:女性=82:63、平均年齢64.5±17.1歳、13~97歳)。【成績】145症例中106症例(73.1%)に小腸内出血性病変、35症例に小腸外出血性病変(24.1%)を認めた(11症例重複あり)。小腸に認められた病変の内訳は、多い順に血管性病変53症例(36.6.%)、潰瘍性病変21症例、腫瘍性病変20症例、NSAIDs起因性小腸病変7症例、憩室6症例であり、その他transplant associated microangiopathy、アミロイドーシス、blue rubber bleb nevus syndromeなど多様な疾患を認めた。基礎疾患としては心血管系疾患が34症例と最も多く、次いで肝疾患と慢性腎不全(人工透析)をそれぞれ11症例認めた。何らかの抗血栓療法は37症例(25.5%)に行われていた。【結論】当院における小腸出血の原因疾患は諸施設の報告と同様、血管性病変が最多であったが、多岐にわたっていた。高齢化社会となり、抗血栓療法が増えるにつれ、小腸出血の頻度もさらに増加すると予想される。OGIBの原因として多種多様な疾患を想定し、CE、DBEだけでなく、腹部造影CT、interventional radiologyなどの他のmodalityも相補的に用いて、診断、治療を行う必要がある。当院のOGIBの診断、治療を実際の症例を提示し、報告する。 |
索引用語 |
OGIB, 小腸出血 |