セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F3-7:直腸炎型で発症し、7年後に急激な増悪で手術に至った潰瘍性大腸炎の一例 |
演者 | 権田 真知(神戸大学医学部付属病院 消化器内科) |
共同演者 | 吉江 智郎(神戸大学医学部付属病院 消化器内科), 山田 恭孝(神戸大学医学部付属病院 消化器内科), 孝橋 道敬(神戸大学医学部付属病院 消化器内科), 渡邊 大輔(神戸大学医学部付属病院 消化器内科), 坂井 文(神戸大学医学部付属病院 消化器内科), 大井 充(神戸大学医学部付属病院 消化器内科), 星 奈美子(神戸大学医学部付属病院 消化器内科), 増田 充弘(神戸大学医学部付属病院 消化器内科), 吉田 優(神戸大学医学部付属病院 消化器内科), 東 健(神戸大学医学部付属病院 消化器内科) |
抄録 | 47歳の女性。7年前発症の直腸炎型の潰瘍性大腸炎で、6年前より慢性持続性に経過していた。1か月前より関節痛(両手指、足関節)および筋肉痛(両下腿、前腕)を伴って腹部症状が増悪(便回数10回/日、水様、下血100%、軽度腹痛あり)した。5-ASA製剤およびSASP坐剤で治療され、消化器症状は軽減したが関節痛、筋痛が持続し、精査加療目的に当院に紹介入院となった。入院後第3病日より38度台の発熱および炎症反応の上昇を認め、第6病日からは軽度の腹痛と下血が出現した。第7病日に大腸内視鏡検査を行ったところ、直腸および深部結腸(横行-下行結腸)に活動性病変を認め、特に深部結腸では類円形・打ち抜き様潰瘍が散在し、CMV再活性化が疑われた。(結腸粘膜PCRでCMV-DNA陽性、免疫染色CMV陰性、C7-HRP 陰性)このため同日より絶食・TPN管理とし、ガンシクロビルおよび顆粒球除去療法により治療を開始した。治療開始後は、一旦は症状軽減を得られたが、第13病日より38度台の発熱と腹痛が再燃した。第14病日には炎症反応も再上昇し、腹部造影CTを施行したところ、直腸では穿通・膿瘍形成を疑う像が認められた。このため同日緊急手術(結腸亜全摘・S状結腸粘液瘻・回腸瘻増設術)に至った。本症例は直腸炎型として約6年慢性持続性に経過した後に、口側伸展を伴って短期間に重症化し、手術に至った潰瘍性大腸炎例である。直腸炎型の口側伸展例は11~46%と報告される。関節炎症状を伴う例が多く、口側伸展例では2年以内に80%が手術に至るとの報告もある。また近年、CMV合併により潰瘍性大腸炎の難治化、手術移行率の上昇が報告され、本症例も転帰に寄与したと思われる。口側伸展およびCMV再活性化を伴い急激な転帰をたどった潰瘍性大腸炎の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, サイトメガロウイルス |