セッション情報 | パネルディスカッション1 「肝・胆・膵腫瘍性病変早期発見に向けた取り組み」 |
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タイトル | P1-13:当科における膵腫瘤性病変早期発見の試み |
演者 | 増田 大介(大阪医科大学 第二内科) |
共同演者 | 小倉 健(大阪医科大学 第二内科), 樋口 和秀(大阪医科大学 第二内科) |
抄録 | 【目的】当科における,EUS-FNAを用いた膵腫瘤性病変に対する診断体系を評価する. 【対象と方法】2004年以降当科で経験した神経内分泌腫瘍を除く膵腫瘤性病変186例(平均年齢67.6±0.7歳,男女比121:65)を対象とした.対象の内訳は,悪性166例;膵癌153例,悪性リンパ腫7例,他臓器癌転移6例,良性20例;AIP12例,慢性膵炎6例,その他2例であった.Convex型EUS導入前後の膵腫瘤性病変に対する診断能をretrospectiveに検討した.各種画像検査を行った後,前期(2010年3月以前)はradial型EUSを行った上で,ERCPによる生検・細胞診を行い,後期(2010年4月以降)はconvex型EUSを行い,腫瘤性病変に対してEUS-FNAを行った. 【結果】1)悪性疾患の診断能(±以上陽性):a)前期80例;ERCP下膵液細胞診は,陽性率62.3%(38/61)であり,胆汁細胞診,膵管・胆管生検の成績を加えると陽性率66.7%(50/75),経皮的生検等のmodalityで診断した成績をさらに加えると陽性率は75.0%(60/80)であった.b)後期86例;EUS-FNAは陽性率98.7%(75/76)であった.ERCP下の膵液細胞診は陽性率62.1%(18/29)であり,胆汁細胞診,膵管・胆管生検の成績を加えると,陽性率66.7%(24/36)であった.EUS-FNAとERCPの成績を総合すると陽性率は97.7%(84/86)であった. 2)良性疾患の診断能:a)前期5例;ERCP下細胞診は陰性80%(4/4)であり,総合的には80%(4/5)であった.b)後期15例;EUS-FNAは陰性92.3%(12/13)であり,総合的には86.7%(13/15)であった. 3)正診率は前期76.5%(65/85),後期96.0%(97/101)であった(p<0.0001). 4)発見から診断に至る期間は,悪性;前期43.3±3.9日,後期26.3±2.4日(p=0.0002)であった. 5)偶発症:前期でERCP後膵炎1.3%(1/78),後期はERCP後膵炎3.7%(2/54),EUS-FNA後膵炎2.2%(2/90)であった. 【結語】EUS-FNA導入により膵腫瘤性病変の診断能の向上と診断期間の短縮が得られ有用である. |
索引用語 | 膵腫瘤性病変, 早期発見 |