セッション情報 | パネルディスカッション2 「根治治療不能進行消化器がんに対する治療選択」 |
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タイトル | P2-05:切除不能大腸癌症例に対する手術介入の有用性 |
演者 | 藤島 佳未(神戸大学 医学部 消化器内科) |
共同演者 | 奥野 達哉(神戸大学 医学部 消化器内科), 木下 雅登(神戸大学 医学部 消化器内科), 吉崎 哲也(神戸大学 医学部 消化器内科), 小川 浩史(神戸大学 医学部 消化器内科), 渡邉 大輔(神戸大学 医学部 消化器内科), 池田 篤紀(神戸大学 医学部 消化器内科), 山下 公大(神戸大学 医学部 食道胃腸外科), 角 泰雄(神戸大学 医学部 食道胃腸外科), 田中 賢一(神戸大学 医学部 食道胃腸外科), 田村 孝雄(近畿大学 医学部 腫瘍内科), 掛地 吉弘(神戸大学 医学部 食道胃腸外科), 東 健(神戸大学 医学部 消化器内科) |
抄録 | 【目的】切除不能大腸癌患者に対する全身化学療法の治療成績は、FOLFIRI/FOLFOXと分子標的治療薬を併用する事で飛躍的に向上し、腫瘍縮小後に手術介入を行うことで、主に肝肺転移症例で長期生存が得られる事が報告されている。只、経過中、治癒切除適応と言えなくても手術介入を希望される症例も存在するため、手術介入の意義は明らかではない。今回、全身化学療法開始後に手術介入を行った症例を抽出し、この治療戦略の意義と有用性を検討した。【方法】1999年7月より2011年4 月まで、切除不能大腸癌と判断され、当科で化学療法を先行した134症例を対象とし、化学療法開始後に手術介入(RFA含む)を試みた症例の背景および治療成績を後方視的に検討した。【成績】全134症例の背景は男性/女性92/42、年齢中央値64(28-83)歳、PS0-1/2-3 125/9例、進行/術後再発78/56例、治療成績は生存期間中央値27.6ヶ月、3年生存率35.1%、5年以上の長期生存は11例(8.2%)に認めた。化学療法開始後に手術介入(RFA3例含む)した症例が15例(手術部位:肝/肺/肝肺/脳/原発・再発部位5/3/2/2/3)あり、男性/女性11/4例、年齢中央値62(34-74)歳、PS全例0-1、進行/術後再発7/8例、転移臓器個数中央値2(1-3)個、原発有/無2/13例。初回化学療法レジメンの内訳はFOLFIRI/FOLFOX/FOLFOX+BV/その他 5/6/3/1例とほぼ多剤併用レジメンで開始され、初回化学療法の効果はCR/PR/SD/PD/不明 3/4/4/1/3、手術介入時期は1/2/3次治療後6/7/2例、手術介入後生存期間中央値37.9ヶ月であった。手術介入後の予後は原病死が6例、治療中が5例、転帰不明が3例、3年の無再発生存は肝切除(加療後CR、再発後切除)の1例だけであったが、手術介入有/無15/119例で比較すると、生存期間中央値は66.4/24.2ヶ月(p<0.0001)と、手術介入群で良好だった。【結論】化学療法中の切除不能大腸癌症例に対する手術介入(RFA含む)は、局所制御目的であっても、生存期間の延長に寄与する可能性が示唆された。しかし、根治できた症例は乏しいため、一次治療から抗EGFR抗体薬を併用し、手術介入を行った治療成績の報告が待たれる。 |
索引用語 | 大腸癌, 化学療法 |