セッション情報 一般演題

タイトル 37:

転移性腫瘍との鑑別を要した肝腫瘤を合併した十二指腸乳頭部癌の1例

演者 谷池 聡子(近畿大学医学部堺病院 消化器内科)
共同演者 尾崎 信人(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 丸山 康典(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 河野 匡志(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 松本 望(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 高場 雄久(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 奥村 直己(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 山本 典雄(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 冨田 崇文(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 梅原 康湖(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 森村 正嗣(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 米田 円(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 山田 哲(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 辻  直子(近畿大学医学部堺病院 消化器内科), 船井 貞往(近畿大学医学部堺病院 外科), 落合 健(近畿大学医学部堺病院 病理診断科), 前倉 俊治(近畿大学医学部堺病院 病理診断科), 工藤 正俊(近畿大学医学部 消化器内科)
抄録 症例は70歳代男性,既往歴は高血圧.自覚症状はなくドック腹部エコーで主膵管拡張を指摘され受診した.身体所見に特記することはなく,血液検査ではアミラーゼ=212IU/mlと上昇を認めたが,肝胆道系酵素やCEA,CA19-9は基準値内でCRP=0.4mg/dlとわずかな上昇を認めた.CT検査およびMRI検査で乳頭部に腫瘤が疑われ,主膵管・胆管拡張を伴い,また肝S6に2cm弱の乏血性腫瘤を認め,SPIO-MRIでは取り込みを認めなかった.EUSでは乳頭部から一部主膵管内に伸展する16mm大の腫瘤を認め,周辺リンパ節腫大を認めず,ERCPでは乳頭の腫大とびらんを認め造影所見では乳頭部に10mmの壁不整と胆管および主膵管の拡張を認めERBDを施行した.乳頭部生検で腺癌,胆汁細胞診はclass IIIa,膵液細胞診はclass IIであった.十二指腸乳頭部癌と診断し,肝腫瘤については転移が疑われたが炎症性変化も否定できなかったためCT検査から約50日後に手術が行われた.術中エコー検査で肝S6腫瘤は消失していたので肝切除は行わず膵頭十二指腸切除術が行われ,病理検査では乳頭部~胆膵管合流部内腔に主座をおく2cm大の高分化腺癌で十二指腸粘膜下への浸潤は認めるが膵浸潤は認めず,リンパ節転移も認めず,pT2N0M0, stage IIで根治度Aであった.肝腫瘤については自覚症状は乏しかったが縮小瘢痕化した肝膿瘍と考えた.術前診断ではStage IVが疑われたが,胆道系腫瘍では肝膿瘍の合併も考慮し肝転移の診断は慎重であるべきと考えられたので若干の文献的考察を加えて報告を行う.
索引用語 十二指腸乳頭部癌, 肝膿瘍