セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y7-03:

良性ポリープとの鑑別が困難であった胆嚢上皮内癌の一例

演者 三谷 誠一郎(ベルランド総合病院 消化器内科)
共同演者 佐藤 慎哉(ベルランド総合病院 消化器内科), 廣瀬 哲(ベルランド総合病院 消化器内科), 大倉 康志(ベルランド総合病院 消化器内科), 長谷川 義展(ベルランド総合病院 消化器内科), 伯耆 徳之(ベルランド総合病院 消化器内科), 安 辰一(ベルランド総合病院 消化器内科), 奥村 哲(ベルランド総合病院 外科), 堀井 勝彦(ベルランド総合病院 外科), 亀山 雅男(ベルランド総合病院 外科), 米田 玄一郎(ベルランド総合病院 病理診断科), 吉村 道子(ベルランド総合病院 病理診断科)
抄録 症例は58歳女性。既往歴は30歳時に急性虫垂炎、40歳時に副鼻腔炎と子宮内膜増殖症に対してそれぞれ手術が行われている。2012年10月中旬右季肋部痛を主訴に当院総合診療科を受診。腹部超音波検査で胆嚢内に隆起性病変を指摘されたため精査加療目的に当科を紹介受診した。血液検査ではWBC:4000/μl、CRP:0.06mg/dlと炎症反応上昇はみられず、CEA:2.4ng/ml、CA19-9:19U/ml、DUPAN-2:25U/mlで腫瘍マーカーも正常範囲内。経腹超音波では胆嚢底部に15mm大の高エコーを呈する隆起性病変として描出された。病変は造影CTでは動脈優位相から濃染したが、肝床への浸潤を疑わせる所見はなく、MRIではT1強調像ならびにT2強調像で低信号であった。超音波内視鏡(EUS)では表面は乳頭状で内部エコーは均一、細い茎を有するように観察された。ソナゾイド造影を行うと強く濃染し、全体はほぼ均一に造影された。画像検査の結果、積極的に悪性を示唆する所見はないと判断したが、ポリープのサイズが大きいことも考慮し、本人と相談の上で腹腔鏡下胆嚢摘出術を行うこととなった。切除標本は胆嚢底部に17×10mmの腫瘍を認め、有茎性であった。病理組織は細胞異型及び構造異型を伴う管状腺管の密な増殖がみられた。間質への浸潤はないものの一部に異型の強い部分があり、上皮内癌と診断された。総合的進行度はpT1 pN0 H0 P0 M(-)のstageIで追加切除は行わず、現在外来で経過観察としている。本症例は有茎性のポリープであり、上皮内癌の診断は困難であったが、悪性の可能性も常に念頭におくことが重要と考えられた。今回我々は良性ポリープとの鑑別が困難であった胆嚢上皮内癌の一例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆嚢ポリープ, 上皮内癌