セッション情報 一般演題

タイトル 41:

Gemcitabin+S-1併用(GS)療法が奏功し十二指腸浸潤による消化管出血が止血した一症例

演者 高田 良司(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
共同演者 井岡 達也(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 末吉 弘尚(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 山井 琢陽(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 福武 伸康(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 上原 宏之(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 片山 和宏(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科DELIMITER大阪府立成人病センター 消化器検診科)
抄録 症例:43歳 女性.主訴:体重減少,右季肋部痛.既往歴:8歳時 虫垂炎手術.生活歴:喫煙歴なし,飲酒歴なし.現病歴:2012年4月から右季肋部痛を認め,近医に受診されたが上部消化管内視鏡検査で異常所見を認めず経過観察となっていた.再度,近医で精査を受け腹部超音波で膵癌が疑われたため2012年10月に当科紹介となった.CTでは膵頭部癌,十二指腸浸潤,多発肺転移,多発肝転移,傍大動脈リンパ節転移が疑われた.腫瘍マーカーはCA19-9 >100,000(U/ml)と異常高値を認めた.超音波下肝腫瘍生検を行い浸潤性膵管癌と確定診断された.肝転移は肝両葉にmassiveに多発しており,tumor burdenが高く,予想される生命予後は極めて短く,1次治療が効果不良であれば2次治療に移行できない可能性が高いと考えられ,最も抗腫瘍効果が高いGS療法を1次治療に選択した.治療直前に下血がみられ,上部消化管内視鏡検査を行ったところ,上十二指腸角から下行部にかけて巨大な潰瘍を形成する十二指腸浸潤を認め,易出血性であった.全身状態は変わりなく,貧血の進行は見られていなかったため化学療法を優先させた.1コースday5より貧血の進行を認め,十二指腸浸潤からの出血と判断し赤血球輸血を行い,絶食,高カロリー輸液管理とした.一方で患者および家族に十分なI.C.を行い,化学療法を継続する方針となった.その後は貧血の進行はみられず経過し1コースday20から食事の経口摂取を再開した.内視鏡観察においても十二指腸浸潤の潰瘍は著明に縮小しており,外来通院可能と判断した.外来化学療法を継続し治療2カ月のCTではPR判定が得られ,Performance statusも保たれていた.しかし,治療6か月のCTではPD判定となったため,BSCに移行する方針となった.まとめ:今回,GS療法が奏功し十二指腸浸潤による消化管出血の止血が得られた貴重な一例を経験したので若干の文献的考察も含めて報告する.
索引用語 膵癌, 十二指腸出血