セッション情報 一般演題

タイトル 45:

巨大膵嚢胞が十二指腸に穿破したが、救命が得られ退院可能となった膵癌患者の一症例

演者 高田 良司(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
共同演者 井岡 達也(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 末吉 弘尚(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 山井 琢陽(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 福武 伸康(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 上原 宏之(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 片山 和宏(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科DELIMITER大阪府立成人病センター 消化器検診科)
抄録 症例:66歳 女性.主訴:嘔吐,発熱.既往歴:高血圧,2型糖尿病(インスリン治療).現病歴:糖尿病,高血圧のため近医通院中に心窩部不快感を自覚し,腹部超音波で60mm大の膵嚢胞を指摘され,前医に紹介受診となる.膵体部癌および膵管閉塞による二次性貯留膵嚢胞が疑われ当院紹介となった.膵体部の径6cm大の充実性腫瘍に対して超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)を行い,浸潤性膵管癌と確定診断した.造影CTで腹腔動脈浸潤陽性のため,切除不能局所進行膵癌と判断し,平成24年11月5日から臨床試験;Gemcitabin+S-1併用化学放射線療法を開始した.平成25年2月28日のCTでは腫瘍はやや縮小しSD判定であった.当院初診時,嚢胞径は最大78mm大であったが87mm大に軽度増大を認めていた.4月8日の夕食後から嘔吐,発熱を認め4月11日に受診された.血液検査で炎症反応の著明な上昇を認めたため,造影CTを行い巨大膵嚢胞が十二指腸球部への穿破し,嚢胞内感染が疑われたため緊急入院となった.入院同日に上部消化管内視鏡検査を行い,十二指腸球部上壁に嚢胞との交通する瘻孔を認め,瘻孔からは黄白色の膿汁の排出を認めた.内瘻,外瘻チューブを留置した.絶飲食,輸液と抗生剤投与(カルバペネム系)を行った.外瘻チューブから生食による洗浄を連日行った.炎症反応の改善傾向となり,第12病日で抗生剤は中止し第13病日から経腸栄養剤を開始した.依然,微熱が持続しCRPも2-3(mg/dl)程度で推移するため,外瘻を持続吸引し改善を図ったところ,発熱はみられなくなりCRPが漸減した.第33病日に内瘻,外瘻をともに抜去し,徐々に食事内容を上げたが,その後の経過で増悪みられず全身状態良好で第47病日に退院する運びとなった.まとめ:今回、膵癌による巨大膵嚢胞が十二指腸に穿破し嚢胞内感染を来したが,内視鏡治療により救命が得られ,退院可能となった症例を経験したので若干の文献的考察も含めて報告する.
索引用語 膵癌, 膵嚢胞