セッション情報 一般演題

タイトル 46:

非典型的な所見を示し膵癌との鑑別に難渋した膵NETの一切除例

演者 高田 良司(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
共同演者 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 末吉 弘尚(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 山井 琢陽(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 福武 伸康(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 井岡 達也(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 上原 宏之(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 片山 和宏(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科DELIMITER大阪府立成人病センター 消化器検診科)
抄録 症例:39歳 男性.主訴:特になし.既往歴:30歳時に脊髄腫瘍に対する手術歴あり.生活歴:機会飲酒.現病歴:健診で膵型アミラーゼ高値の指摘を受け前医受診となり,CT,MRCPで膵体尾部の主膵管拡張(5mm)を指摘され精査目的に当院紹介となった.腫瘍マーカーはCA19-9,CEAそれぞれ正常であった.膵精密超音波検査および超音波内視鏡検査にて膵体部に辺縁不整な10mm大の低エコー腫瘤を認め,同部位から尾側の主膵管拡張を認めた.ソナゾイド造影において腫瘤は造影早期で染影されたが,造影後期では速やかにhypovascularとなり,膵癌に一致する所見と考えられた.また当院における腹部CTでは病変は門脈相でかろうじて造影効果を認める10mmの腫瘤および尾側の膵管拡張として描出された。その後 25G針でEUS-FNAを計3回施行したが,異型細胞は認めるものの癌の確定診断には至らなかった.ところがEUS-FNA後に急性膵炎を来したため,患者はERCPの追加およびEUS-FNAの再検を拒否された。しかし画像所見上膵癌が強く疑われたため十分なI.C.の上,術前化学放射線療法後に膵体尾部切除を行った.切除標本の病理結果はNeuroendocrine tumor ; Pb, pT1, nodular gross type, scirrhous type, IFNα, ly0, v0, ne0, mpd(-), pS(-), pRP(-), pPVsp(-), pAsp(-), pPL(-), pOO(-), pPCM(-),pDPM(-), N0, M0 : StageIであった。放射線治療後ではあるがKi-67 indexは5.9%でありG2と診断した。また拡張した主膵管は主病変に圧排されているのみであった。現在再発なく経過し外来通院している.結語:今回,術前画像検査にて膵癌が強く疑われたが、手術後に膵NETと判明した貴重な症例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.
索引用語 膵NET, ソナゾイド造影