セッション情報 パネルディスカッション1 「肝・胆・膵腫瘍性病変早期発見に向けた取り組み」

タイトル P1-08:

Gd-EOB-DTPA造影MRI肝細胞相画像を軸とした非多血性肝細胞結節に対する治療戦略

演者 坂本 梓(大阪赤十字病院 消化器内科)
共同演者 木村 達(大阪赤十字病院 消化器内科), 井口 恵理子(大阪赤十字病院 消化器内科), 大原 芳章(大阪赤十字病院 消化器内科), 竹田 治彦(大阪赤十字病院 消化器内科), 齋藤 澄夫(大阪赤十字病院 消化器内科), 西島 規浩(大阪赤十字病院 消化器内科), 那須 章洋(大阪赤十字病院 消化器内科), 西川 浩樹(大阪赤十字病院 消化器内科), 米門 秀行(大阪赤十字病院 消化器内科), 喜多 竜一(大阪赤十字病院 消化器内科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院 消化器内科)
抄録 【背景】Gd-EOB-DTPA造影MRI (以下EOB-MRI)の出現により、肝癌診療において非多血性肝細胞結節が多く検出されるようになり、現在その診療指針が検討されている。今回我々は、EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈する非多血性肝細胞結節の組織像または自然経過の検討から治療戦略を考察した。【対象】2008年7月から2011年7月に施行されたEOB-MRIの肝細胞相で、周囲肝より低信号を呈し、その前後2カ月以内の血管造影下CTにて非多血性を確認した106症例155結節。【検討項目】対象結節の組織採取ないしは自然経過観察による悪性度評価。【結果】組織学的検討を行った98結節中、高分化HCC 78結節(79.6%)、中分化HCC 7結節(7.1%)、dysplastic nodule 5結節(5.1%)、特異所見なし 8結節(8.2%)であった。腫瘍径、血流動態によらず87%が肝細胞癌であった。3か月以上経過観察した93結節中、多血化が37結節(39.8%)に、非多血性のまま腫瘍径の増大が25結節(26.9%)にみられた(平均観察期間13.1±6.6か月)。1年間での累積多血化率は22.6%で、腫瘍径≧1.3cm、腫瘍倍加時間<450日が多血化に寄与する因子として抽出された(p=0.005, p<0.001)。【考察】EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈する非多血性結節は、約90%が組織学的に肝細胞癌であり、中でも腫瘍径≧1.3cm、腫瘍倍加時間<450日の結節は多血化するリスクが高く、治療を決める一つの因子になり得ると考えられた。しかし、治療により予後の改善に寄与するかは不明であり、今後の検証課題といえる。
索引用語 非多血性肝細胞癌, EOB-MRI