セッション情報 パネルディスカッション1 「肝・胆・膵腫瘍性病変早期発見に向けた取り組み」

タイトル P1-02:

LF Indexによる非侵襲的肝線維化評価法を用いた肝細胞癌発生予測の検討

演者 藤本 研治(三和会 永山病院 消化器内科DELIMITER国立病院機構南和歌山医療センター 臨床研究部DELIMITER国立病院機構南和歌山医療センター 内科DELIMITER市立貝塚病院 消化器内科)
共同演者 東 哲明(三和会 永山病院 消化器内科), 山田 幸則(市立貝塚病院 消化器内科), 加藤 道夫(国立病院機構南和歌山医療センター 臨床研究部DELIMITER国立病院機構南和歌山医療センター 内科)
抄録 【目的】我々は心拍動の圧迫により生ずる肝臓の歪みにつき、Real-time Tissue Elastography(以下RTE)を用いた非侵襲的肝線維化評価法を考案、肝RTEは炎症の影響を受けない優れた肝線維化評価法である報告してきた。今回、C型慢性肝疾患の肝線維化の経時的変化をRTE肝線維化stage推定値であるLF Index(以下LFI)(藤本他. 肝臓, 2010; 51: 539- 541 Fujimoto K. et al.: Oncology, 2013; 84 (supple 1):3-12)で評価し、進展度が肝細胞癌(以下HCC)発癌の予測をしうるか検討を行った。【方法】対象は2009年5月から2013年5月迄に、肝生検を施行、LFIが経時的に評価可能であったC型慢性肝炎・肝硬変患者158例 (平均年齢:67.7歳, 男/女: 68/90例。IFN療法SVR77例、SBR10例、NR1例、IFN投与継続中32例、肝庇護療法36例、未治療2例)を対象とした. 観察期間(中央値)は1068日であった. LF Indexは肝生検時に評価の後、6ヶ月毎に測定・評価、平均変化年率((生検時LFI-最終測定LFI)/観察日数×365日)(以下ΔLFI/year)を求め、発癌との関連を検討した。【成績】肝生検時のLFIはHCC:3.312±0.237、non-HCC:1.897±0.091(p<0.001)とHCC例で有意に高値であった。全観察期間におけるΔLFI/yearはHCC:0.356±0.127、non-HCC:-0.073±0.045(p<0.003)と変化年率増加例で発癌を認めた。このうち肝生検時LFI 1.5未満ではHCC発癌は認めず、1.5以上2.5未満症例のΔLFI/yearはHCC:0.476±0.228、non-HCC:-0.036±0.058(p<0.05)であったが、LFI 2.5以上の症例のHCCの有無には ΔLFI/yearは有意差を認めなかった。以上より肝線維化進展例であるLFI 2.5以上は発癌の高リスク群と考えられ、LFI 2.5未満1.5以上の症例においてもΔLFI/yearの急速増加例ではHCCが認められた。【結語】RTEを用いたLFI およびΔLFI/yearはHCC発癌予測が可能なモダリティーになり得る。
索引用語 LF Index, Real-time Tissue Elastography