セッション情報 パネルディスカッション1 「肝・胆・膵腫瘍性病変早期発見に向けた取り組み」

タイトル P1-12:

当院における膵癌早期診断に対する超音波内視鏡下穿刺術の位置づけ

演者 杉森 聖司(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学)
共同演者 斯波 将次(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 丸山 紘嗣(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 岡本 純一(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 加藤 邦洋(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 大南 雅揮(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 福永 周生(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 永見 康明(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 鎌田 紀子(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 十河 光栄(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 山上 博一(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 谷川 徹也(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 渡辺 憲治(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 渡辺 俊雄(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 藤原 靖弘(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学), 荒川 哲男(大阪市立大学 大学院医学研究科 消化器内科学)
抄録 【背景】我国において膵癌診療は,一般に膵癌診療ガイドラインに沿って行われているが,いまだに予後不良である.予後不良となる原因のひとつに早期発見が困難であることが挙げられる.超音波内視鏡検査は特に微小な膵腫瘍に対する検出能は良好で,高い感度が報告されている.また2010年4月に保険収載された超音波内視鏡下穿刺術(以下EUS-FNA)は特異度が高いことが知られる.【目的】当院における2.0cm以下の膵腫瘍に対するEUS-FNAの成績を明らかにし,膵癌診療におけるEUSおよびEUS-FNAの位置づけを検討する【方法】当院で2.0cm以下の膵腫瘤に対して行ったEUS-FNAの成績をretrospectiveに集積,解析し,検討を加える.【結果】当院で2.0cm未満の膵腫瘍に対してFNAを行ったのは15症例であった.穿刺は全例で可能であった.15例中最終診断が膵管癌であった7例中,FNAで膵管癌と診断しえたのは5例であった.2例は異型度が弱く,atypical cells, class IIであった.非膵管癌症例はすべて非膵管癌と診断しえた.感度71.4%, 特異度100%, 正診率86.7%であった.2.0cm以上の腫瘤も含めた膵腫瘤全体の成績は,正診率89.1%であった.対象症例で合併症は認めなかった.【考察】EUS,EUS-FNAは現ガイドラインの診断アルゴリズムでは,他の検査で診断できない場合の2nd. lineとしての位置づけにある.今回の検討でEUS-FNAはTS1膵癌においても安全に実施可能で,良好な成績であったことからEUS-FNAは診断過程においてより重要な役割を担いうる可能性が示唆された.【結論】EUS-FNAはTS1膵癌においても安全に実施可能で,有用な検査であった.
索引用語 EUS-FNA, 小膵癌