セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y3-02:

下痢症状を契機に発見された虚血性小腸炎の一例

演者 杉谷 義彦(彦根市立病院 内科)
共同演者 來住 優輝(彦根市立病院 内科), 田辺 理恵(彦根市立病院 内科), 永岡 真(彦根市立病院 内科), 仲原 民雄(彦根市立病院 内科), 山田 英二(彦根市立病院 病理部), 平田 渉(彦根市立病院 消化器外科), 寺村 康史(彦根市立病院 消化器外科)
抄録 【症例】78歳,男性。高血圧,糖尿病があり,当院に通院中であった。平成25年1月に嘔気・嘔吐,下痢,発熱,下腹部痛を主訴に救急受診した。内服治療では改善を認めず,入院の上,絶食,点滴加療とした。血液検査では,白血球8500,CRP 2.85と炎症反応を認めたが,各種培養検査は陰性であった。腹部CTでは,骨盤腔内の回腸壁肥厚,腸間膜の濃度上昇を認め,下部消化管内視鏡検査で回腸末端に発赤・浮腫,壁硬化があり,ガストログラフィン造影で,回腸の口側に向かって50cmにわたる狭小化を認めた。保存的加療にて,下痢は改善したが,微熱と右下腹部の圧痛は遷延したため,開腹回盲部切除術を施行した。病理組織的に,虚血性小腸炎と診断した。術後経過は良好で,慢性下痢,発熱や腹痛などの一連の症状は改善し,術後24日で退院した。【考察】虚血性腸炎は主幹動脈の閉塞を伴わない可逆性,一過性の虚血性疾患である。小腸は側副血行路が発達しており,虚血性病変は稀とされている。医学中央雑誌で,狭窄型虚血性小腸炎として本邦報告例は,197例(1983~2013年)であった。虚血性小腸炎は高血圧,糖尿病,虚血性心疾患,脳梗塞の合併が多いことから,動脈硬化が誘因と考えられている。臨床経過においては小腸の観察が困難なこともあり,診断に難渋する例が多いものと思われる。報告の多くは,イレウス症状で発症しており,下痢症状を契機に発見された報告は極めて少ない。外科手術により症状が改善した虚血性小腸炎の症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する。
索引用語 虚血性小腸炎, 下痢