セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y7-04:

胆管メタリックステント挿入後、化学療法中に胆管出血を来した胆管癌の一例

演者 片岡 星太(京都山城総合医療センター 消化器内科)
共同演者 川端 利博(京都山城総合医療センター 消化器内科), 坂上 共樹(京都山城総合医療センター 消化器内科), 田辺 利明(京都山城総合医療センター 消化器内科), 黒田 雅昭(京都山城総合医療センター 消化器内科), 今井 昭人(京都山城総合医療センター 消化器内科), 新井 正弘(京都山城総合医療センター 消化器内科)
抄録 症例は59歳、男性。2012年7月に全身倦怠感と褐色尿を主訴に当院を受診された。血液検査で肝胆道系酵素の上昇があり、造影CTで中部胆管の狭小化と壁の造影効果及び上部胆管、左右肝管壁の肥厚を認めた。また、胆嚢に腫瘤影を認めた。ERCPでは胆管に悪性狭窄を疑う途絶を認めたが、IDUSで左右肝管・下部胆管への明らかな浸潤像は認めなかった。以上の画像所見から胆管癌およびその胆嚢浸潤と診断した。また,上部消化管内視鏡検査で前庭部に0-llc型胃癌を、下部消化管内視鏡検査で脾弯曲部に大腸癌を認めた。胆管癌については腹膜播種を来しており手術適応はなく、閉塞性黄疸を解除の上Gemcitabine・Cisplatin療法を開始した。化学療法開始後、胆管ステントはプラスティックステントからカバードメタリックステントに交換した。GC療法開始後6ヶ月間PRからSDを維持したが、その後PDとなり2013年3月からFOLFIRINOXを開始した. FOLFIRINOXにより腫瘍は縮小傾向にあったが、3クール実施途中に上腹部痛・吐血症状ありshock状態で救急搬送となった。緊急上部消化管内視鏡検査にて乳頭部より出血を認めた。腹部造影CTではステント周囲からの出血が疑われ、胆道出血によるshockと診断した。同日緊急で血管造影検査を実施したところ後上膵十二指腸動脈に仮性動脈瘤を認め、同部位からの多量の造影剤血管外漏出を認めた。同部をコイル及びlipiodolを用いて塞栓し止血に成功した。その後再出血は見られず経過したためFOLFIRINOXを再開した。本症例は化学療法による腫瘍縮小が見られた直後に病変部から出血を来しており、腫瘍崩壊に伴う血管の破綻が示唆される。また医中誌で検索したところ胆管メタリックステント留置に伴い仮性動脈瘤が形成され、胆道出血を来した症例が散見される。本例でも腫瘍崩壊に加え、ステントにより形成された動脈瘤からの出血が関与していた可能性もあり、胆管癌治療中の合併症に関して示唆に富む症例と考えるため若干の文献的考察を加え、ここに報告する。
索引用語 胆管出血, 胆管ステント