セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年迄) |
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タイトル | Y1-6:易感染性宿主に糞線虫症を合併し消化管出血を来した1例 |
演者 | 田村 彰朗(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科) |
共同演者 | 近藤 隆(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 池田 仁美(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 濱中 宏光 (兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 福井 章太(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 瀧本 真弓(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 南堂 吉紀 (兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 山崎 尊久(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 奥川 卓也(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 浅野 晴紀(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 豊島 史彦 (兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 櫻井 淳(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 池原 久朝(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 富田 寿彦(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 大島 忠之(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 福井 広一 (兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 渡 二郎(兵庫医科大学 内科学 上部消化管科), 中正 恵二(兵庫医科大学病院 病理学 機能病理部門), 三輪 洋人 (兵庫医科大学 内科学 上部消化管科) |
抄録 | 【症例】80歳代、女性【主訴】食思不振、嘔気【既往歴】尋常性天疱瘡に対して加療中。入院時 プレドニゾロン20mg/日内服中【現病歴】 鹿児島県沖永良部島に在住中。平成24年9月末頃より食思不振、嘔気が出現し近医受診。血液検査で炎症反応上昇、β-Dグルカンの高値を認め、深在性真菌症として入院加療した。一旦軽快退院となったが、その後も食思不振、全身倦怠感が続き、10月12日に紹介受診となり精査加療目的で当科入院となった。【経過】入院後、上部消化管内視鏡検査(EGD)を施行したところ、十二指腸下行脚を中心として、全周性に易出血性で浮腫状の粗造粘膜を認め、多発の打ち抜き様潰瘍を伴っていた。血液検査でC7-HRP陽性であったことより、サイトメガロウイルス(CMV)感染症に伴う十二指腸炎を疑い,同日よりガンシクロビル (GCV)の投与を開始した。自覚症状と内視鏡所見の改善を認め、11月28日に一旦退院となった。しかし、その約3週間後に再度発熱、下痢を認め同日再入院となり、採血上C7-HRPの再上昇を認め、CMV感染症の再燃を疑いGCVによる治療を再開した。ところが、平成25年1月4日に大量の吐下血を認め緊急EGDを施行したところ、胃体部から十二指腸下行脚にいたるまで易出血性の粗造粘膜を広範囲に認め、同部位からの漏出性の出血を認めた。その後、絶食のうえ輸血を含む点滴加療を行うも、上部消化管出血が持続し、敗血症も合併し1月7日に永眠された。病理解剖所見では、胃・十二指腸・空腸すべての粘膜内に広範囲に多数の糞線虫を認めた。【考察】糞線虫は南西諸島に多く、主に十二指腸や小腸上部の粘膜に寄生する寄生虫感染症である。易感染性宿主では重症化すると言われており、本症例のようにステロイド内服中に難治性十二指腸炎を認めた場合は糞線虫症も鑑別疾患として考える必要がある。【結語】易感染性宿主に糞線虫症を合併し、重篤化することで広範囲の上部消化管出血と敗血症を来した症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 糞線虫症, 消化管出血 |