セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y2-9:

胃癌術後15年目に腹膜播種による再発をきたした1例

演者 岩井 直人(大津市民病院 消化器内科)
共同演者 森田  幸弘(大津市民病院 消化器内科), 寄木 浩行(大津市民病院 消化器内科), 藤井 恒太(大津市民病院 消化器内科), 高田 龍介(大津市民病院 消化器内科), 高谷 宏樹(大津市民病院 消化器内科), 益澤 明(大津市民病院 消化器内科), 松本 尚之(大津市民病院 消化器内科), 高見 史朗(大津市民病院 消化器内科), 若林 直樹(大津市民病院 消化器内科), 片岡 慶正(大津市民病院 消化器内科)
抄録 【症例】70歳,女性【主訴】腹部膨満感【既往歴】子宮筋腫に対して子宮全摘術,片側卵巣切除,虫垂合併切除(33歳時),B型肝炎【現病歴】平成10年10月に4型胃癌による幽門狭窄に対して幽門側胃切除(Billroth-I法)を受けた.組織型はsig+por2,深達度はSSであり,術後補助化学療法を開始したが好中球減少のため数か月で中断となった.その後は近医にて毎年上部消化管内視鏡検査を施行されていた.平成25年3月に腹部膨満感を自覚し腹部超音波検査で腹水を認めため精査目的に紹介入院となった.【臨床経過】腹水穿刺ではadenocaricinomaを認め,上部消化管内視鏡検査では再発所見は認めなかった.下部消化管内視鏡検査,上部超音波内視鏡検査,胸腹部CT検査,腹部MRI検査を施行したものの原発巣となりうる腫瘤性病変は指摘できなかった.PET検査では吻合部周囲にFDG集積亢進部位を認めたが,CT検査では同部位に腫瘤形成は認めず,術後の生理的集積と考えられた.そこで腹水穿刺検体に対してセルブロックを行い,セルブロック材料に免疫組織化学を施行したところCK7(+),CK20(-),MUC2(+),MUC5AC(+),MUC6(-),ER(-),PgR(-)を示した.原発巣の標本に対しても免疫組織化学を施行したところCK7(+),CK20(-),MUC5AC(+)かつMUC2,MUC6に弱陽性細胞が少数見られた.セルブロック材料の腫瘍細胞と胃癌標本の細胞が類似しており,免疫組織化学の結果を併せて胃癌由来の癌性腹膜炎と診断した.現在,胃癌の腹膜播種として化学療法施行中である.【考察】本症例は胃癌術後15年目に腹膜播種による再発を認めており再発形式としては稀であり原発巣特定に苦慮したが,原発巣特定においてセルブロック法が非常に有効であった.胃癌の再発形式ならびにセルブロック法についての若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語 腹膜播種, セルブロック