セッション情報 一般演題

タイトル 43:

IPMN経過観察中に腹部超音波検査を契機に膵癌を早期発見できた症例

演者 末吉 弘尚(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
共同演者 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 高田 良司(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 山井 琢陽(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 福武 伸康(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 井岡 達也(大阪府立成人病センター 消化器検診科), 上原 宏之(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 片山 和宏(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
抄録 症例は70歳男性。2007年より混合型IPMNとして経過観察されていた。2012年10月の腹部超音波検査ではIPMNは不変で膵内に他の腫瘤は認めなかった。その後2013年1月の腹部超音波検査にて膵頭部腫瘍を指摘され精査入院となった。腹部超音波検査では頭部の多房性嚢胞の頭部寄りに接するように6mm大の境界明瞭で比較的内部均一な低エコー領域を認めた。ソナゾイド造影では造影早期に周囲膵とほぼ同様に造影されるが、造影後期には早く造影剤が消失した。その後腹部造影CT検査を施行。同部は膵頭上部に門脈相で淡くwashoutされるように見えた。腹部MRIでは病変同定は困難であった。膵管造影検査では主膵管が全体的に拡張し頭部には粘液と思われる透瞭像と頭部の嚢胞の描出を認めた。上記すべての所見より膵管癌を強く疑い、EUS-FNAを施行した。細胞診断、病理診断いずれもadenocarcinomaの診断で病理学的に確定診断を得た。各種画像診断よりcT1N0M0stageIと診断した。その後2013年2月膵頭十二指腸切除術を施行。病理組織学的には膵頭部癌はwell differenciated adenocarcinoma(tub1>tub2)、T1N0M0 stageIとの診断であった。IPMNとの関係は両者にあきらかな移行像のないcomcomitant pancreatic ductal carcinomaであった。今回IPMN経過観察中に腹部超音波検査を契機に膵癌を早期発見できた症例を経験した。2012年10月に出されたIPMN国際診療ガイドライン第2版には、切除したIPMN症例では平均25.5%に悪性所見を認め、浸潤癌は平均17.7%であったと記載がある。本症例のように移行像がない場合もあり、IPMNの経過観察には膵全体をくまなく観察する必要があると考えられた。IPMNに合併する膵癌について多少の文献的考察を加えて検討する。
索引用語 膵癌, IPMN