セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y1-8:

胃静脈瘤破裂に対し早期にEVL,B-RTOを施行し,良好な経過を得た一例

演者 安田 華世(兵庫県立西宮病院内科)
共同演者 武田 梨里(兵庫県立西宮病院内科), 福島 寿一(兵庫県立西宮病院内科), 柳川 和範(兵庫県立西宮病院内科), 増田 江利子(兵庫県立西宮病院内科), 岩間 裕基(兵庫県立西宮病院放射線科), 松本 仁(兵庫県立西宮病院内科), 安永 祐一(兵庫県立西宮病院内科), 乾 由明(兵庫県立西宮病院内科), 河田 純男(兵庫県立西宮病院内科)
抄録 【症例】58歳男性【主訴】吐下血【現病歴】C型慢性肝炎に対して当科外来加療中であった.平成25年4月17日鮮血の吐血および鮮血便を来した為,当院に救急搬送された.【入院時身体所見】意識清明,体温34.7℃,血圧 69/49 mmHg,脈拍 90/分 整,SpO2 99%(酸素6L/分 投与下),直腸診 暗赤色の血餅付着あり【入院後経過】入院時のChild-Pugh分類はAであった.腹部造影CTを施行したところ,左胃静脈,短胃静脈,後胃静脈を供血路とし胃腎シャントを排血路とする胃食道静脈瘤を認め,同部位からの出血による吐下血とこれに起因する出血性ショックと診断し,SBチューブにて一時止血を行った.入院2日目,待機的に内視鏡的硬化療法(EIS)を施行する予定であったが,CT所見で食道静脈瘤から肺への側副血行路を認めたため,食道静脈瘤(Lm,F2,Cw,RC-)に対して食道静脈瘤結紮術(EVL),後胃静脈から供血される胃静脈瘤(Lg-cf,F2,Cw,RC+)に対してバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)を施行した.バルーン留置を行い,翌日血管造影を施行.短胃静脈からの供血路に対しても塞栓を行った.その後の経過は良好であり,入院14日目に施行した上部消化管内視鏡検査で潰瘍形成した食道静脈瘤,自壊した胃静脈瘤を認め,入院18日目に退院となった.【考察】胃静脈瘤に対する緊急止血術はcyanoacrylate系組織接着剤による一時止血の施行がガイドラインによって推奨されている.今回はSBチューブで一時止血が得られ,翌日の上部内視鏡検査時により胃静脈瘤からの出血と診断し,排血路の遮断と食道静脈瘤の制御目的のEVLを施行し良好な経過を得られた症例であった.肝予備能が良好で胃腎シャントを有する症例では,胃静脈瘤破裂に対しB-RTOの早期の適応により静脈瘤の廃絶と再出血のリスクの軽減を得られると考える.
索引用語 胃静脈瘤, B-RTO