セッション情報 シンポジウム1 「ウイルス性肝炎治療の最前線」

タイトル S1-08:

当院におけるC型慢性肝炎に対するテラプレビル3剤併用療法の現況

演者 那須 章洋(大阪赤十字病院 消化器内科)
共同演者 木村 達(大阪赤十字病院 消化器内科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院 消化器内科)
抄録 【目的】大阪赤十字病院におけるgenotype1型高ウイルス量のC型慢性肝炎に対するペグインターフェロン(PEG-IFN)+リバビリン(RBV)+テラプレビル(TVR)3剤併用療法の患者背景、治療効果、薬剤の中止減量率を検証し、至適投与量および治療効果予測因子を明らかにする。
【方法】2012年2月~2013年2月に当院消化器内科にてTVR3剤治療を開始した症例56例についてその患者背景、治療効果、薬剤の中止減量率の検証を行った。また、治療終了後12週における持続的ウイルス陰性化(SVR12)の有無が判定可能であった43例についてSVR12予測因子を検討した。
【成績】男性31例、女性25例で年齢中央値は60歳(19-70歳)であった。初回治療28例、再燃20例、無効8例であり、宿主IL28B遺伝子SNP、HCV core70変異は49例で測定しそれぞれTT/TG/GG = 37/12/0例、野生型/変異型/混合型=28/ 15/6例であった。
治療開始後のウイルス陰性化率は4週 78.8%、8週 90.6%、12週 92.3%、24週 89.8%であり、治療終了時、治療終了後4週、8週、12週の陰性化率はそれぞれ88.5%、82.6%、80%、72.1%であった。治療薬剤の中止、減量については9例が3剤とも中止、2例が2剤中止(PEG-IFNのみ継続)、2例が1剤中止(PEG-IFN、RBV継続)となり、初期投与量完遂症例は8例(標準投与量完遂例は3例)であり、残りの症例はいずれかの薬剤の減量休薬が必要となった。PEG-IFN、RBV、TVR各薬剤のコンプライアンスはそれぞれ82.9%、64.2%、65.1%であり、TVRの体重あたり1日投与量は22.9mg/kg/dayであった。
SVR12予測因子の検討では単変量解析にて前治療歴、肝生検F因子、 IL28B SNP、 RVR達成の有無、薬剤減量中止の有無、PEG-IFNおよびTVRアドヒアランスが有意となった。また、SVR12達成例におけるTVRの体重あたり1日投与量中央値は24.7mg/kg/dayであった。
【結論】体重50kg以下の症例ではTVR開始量として1500mgで十分である可能性がある。TVR3剤治療は従来治療に比し治療効果が高い反面、薬剤の中止減量を余儀なくされる症例が多く、治療適応症例の選択、治療後の細かな投与量調節が重要である。
索引用語 テラプレビル, C型慢性肝炎