セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年迄) |
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タイトル | Y3-05:回腸末端に発生した石灰化線維性偽腫瘍(calcifying fibrous pseudotumor)の1例 |
演者 | 中野 遼大(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ) |
共同演者 | 中島 英信(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 田中 雄志(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 徳山 長裕(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 松本 尊彰(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 北見 元哉(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 石村 恵美(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 角山 沙織(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 志柿 泰弘(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 中田 秀史(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 角田 力(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 大須賀 達也(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 平野 誠一(愛仁会 高槻病院 消化器内科 ), 吉川 卓郎(愛仁会 高槻病院 消化器外科), 植野 望(愛仁会 高槻病院 消化器外科), 伊倉 義弘(愛仁会 高槻病院 病理科), 岩井 泰博(愛仁会 高槻病院 病理科) |
抄録 | 症例は47歳女性である。受診の2ヶ月前より右下腹部痛を自覚した。外来で施行した大腸内視鏡検査で回腸末端に約20mm大の粘膜下腫瘍を認めた。腹部単純CTで回腸末端に内部に小石灰化をともなったやや高吸収の腫瘤を認めた。精査加療を目的に入院した。右下腹部痛は軽度で間歇的であり、血液検査では腫瘍マーカーを含めて異常はなかった。造影CTでは腫瘍の造影効果は乏しかった。EUSを施行したところ腫瘍は第3層以深に局在する基本低エコー腫瘤で内部は微細な石灰化を伴っていた。総合的に充実性の間葉系腫瘤でGISTなどを考えた。生検は施行しなかった。右下腹部痛については回腸粘膜下腫瘍の大腸への嵌頓による可能性が考えられたため手術適応と考えた。術中所見では腫瘍は回腸末端から約5cm口側に存在し、同部位は虫垂切除創に癒着していた。病理組織検査では腫瘍は径20mmの境界明瞭な球形粘膜下結節で、密な膠原線維束と疎な紡錘形細胞とで構成され、少数の血管および肥満細胞や形質細胞などの細胞浸潤を伴っていた。膠原線維束間に砂粒体が散在性に分布しており、石灰化線維性偽腫瘍(calcifying fibrous pseudotumor)に合致する所見であった。細胞分裂像や周囲浸潤像などの明らかな悪性所見は認めなかった。今回、回腸粘膜下の石灰化線維性偽腫瘍の1例を経験した。本腫瘍は若年成人の皮下や軟部組織に好発し、組織学的には砂粒体を伴い硝子化のある豊富な膠原線維とリンパ球、形質細胞浸潤を特徴とする非常に稀な疾患である。消化管由来のものは本邦での報告例はきわめて少なく興味深いと考えたため報告する。 |
索引用語 | 粘膜下腫瘍, 小腸 |