セッション情報 パネルディスカッション2 「根治治療不能進行消化器がんに対する治療選択」

タイトル P2-12:

切除不能の局所進行膵癌に対する治療戦略:ゲムシタビン+S-1併用化学放射線療法の有用性と安全性を検証する多施設共同試験

演者 井岡 達也(大阪府立成人病センター 検診部消化器検診科)
共同演者 片山 和弘(大阪府立成人病センター 検診部消化器検診科DELIMITER大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 蘆田 玲子(大阪府立成人病センター 検診部消化器検診科)
抄録 【はじめに】切除不能の局所進行膵癌に対する治療戦略は、施設間において大きな差異があり、欧米のガイドラインでも確固とした標準療法について示されていない。今回、我々は膵癌のキードラッグであるゲムシタビンおよびS-1(以下、GS療法)を同時に併用して化学放射線療法をおこなったので報告する。【方法】対象は、局所進行膵臓癌のうち、主要動脈浸潤などにより切除不能と診断された症例。ゲムシタビンは第1日と第8日に、30分かけて静脈内に投与、S-1が第1日から第14日まで連続して内服投与し、21日間を1サイクルとして反復した。放射線照射(以下RT)は、連続28日間、1日1回1.8グレイ(計50.4グレイ)を照射した。まず、I相試験により推奨容量を決定し、その推奨容量を用いた化学放射線療法と、標準的なGS療法に関する無作為割り付けII相試験をおこなった。【結果】2006年2月から2007年5月までに、合計15例がI相試験に登録され、レベル2(Gem 600mg/m2、S-1 60mg/m2)を推奨容量と決定した。I相試験の15例について、RECIST判定による抗腫瘍効果(PR以上)は5/15(33%)、腫瘍制御率(SD以上)は13/15(87%)に認められ、1年および2年生存率は、各々13/15(87%)および7/15(47%)であった。続いて、2009年4月から2012年12月までに、全国10施設から110例がII相試験に登録された。うち、両群の数例について切除可能と診断され(ダウンステージ)、外科切除が施行された。【まとめ】GS療法を併用した化学放射線療法の第I/II相試験をおこなった。II相試験は、主評価項目を2年生存率に設定しており、2014年ASCOでの報告を予定している。
索引用語 膵癌, 化学放射線療法