抄録 |
【目的】超音波がん検診基準のカテゴリー判定を行い、HCCや胆嚢癌スクリーニングにおける有用性を検討した。【方法】1)肝切除術(65例68結節)或いは肝生検(22例26結節)にて診断したHCC 87例94結節、また開腹或いは腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した胆嚢良性病変53例(胆嚢ポリープ45例、papillary hyperplasia1例、胆嚢腺腫7例)及び胆嚢癌15例において、術前US B-modeをカテゴリー分類判定し、検討した。【成績】1)HCC94結節のカテゴリー分類(C)3/4/5はそれぞれ21.3/35.1/43.6%であり、腫瘍径15mm未満の26結節では76.9/7.7/15.4%、15mm以上の68結節ではC4/5が45.6/54.4%であった。組織分化度別では、高分化型HCC48結節のC3/4/5は31.2/39.6/29.2%(早期HCC 26結節では38.2/34.6/26.9%)、中低分化型HCC46結節では10.9/30.4/58.7%であった。2)胆嚢良性病変53例ではC2/3/4/5は11/13/28/1例、胆嚢癌15例では0/0/7/8例に分類された。カテゴリー別では、C2/3/4/5は11/13/35/9例であり、C2,3は全て良性病変であった。C4の内訳は良性病変28例、早期胆嚢癌4例、進行胆嚢癌3例であり、良性病変28例中23例において、10mm以上であることが判定理由であった。【結論】HCCの72%が15mm以上のHCC、C4,5に分類され、拾い上げに有用であったが、15mm未満のHCCの約7割がC3に属し、高分化型HCC、特に早期HCCにC3が多く見られた。びまん性病変C3と充実性病変C3が同時に存在する際C4と同等と判定することにより更に精度は増すと考えられた。また、胆嚢癌はすべてC4,5に分類され、C2,3はすべて良性病変であり、カテゴリー分類は胆嚢癌の拾い上げに有用であったが、悪性疑いであるC4に良性病変も多く含まれ今後の検討課題と考えられた。 |