セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y1-7:

ダビガトラン内服中の患者に見られた上部消化管出血の1例

演者 坂谷 彰彦(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科)
共同演者 笹井 保孝(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 西田 直浩(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 阪本 めぐみ(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 上ノ山 直人(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 松田 高明(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 木下 和郎(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科), 土井 喜宣(国家公務員共済組合連合会 大手前病院 消化器内科)
抄録 【緒言】ダビガトランはわが国において2011年3月に発売となり、その後9月までの6ヶ月間に渡って行われた市販後調査で約70000人に投与され15例の死亡例を含む重篤な出血が139例報告されるなど注目を集めているが、胃腸出血は49例と比較的報告症例数が少ない。【症例】70歳代男性【既往歴】非弁膜症性発作性心房細動に対し近医でワーファリン導入されたが肝機能障害のためダビガトランに変更され300mg/日で内服開始となっていた。【現病歴】内服開始から7ヶ月経過後、1週間持続する黒色便を主訴として当科受診した。来院時の血液検査でAPTTは43.5sと延長を示し、Hbは10.5g/dLと低下していたことから消化管出血を疑い、精査加療目的に入院とし、同日緊急で内視鏡検査を施行した。【内視鏡所見】噴門直下小弯からoozingが見られ水洗しても出血が継続したことからAPCで止血した。治療後の経過は良好で、ダビガトランは再開にあたりeGFR46.0ml/min/1.73m2と腎機能の低下が見られたことから220mg/日に減量して内服再開した。【経過】その後13ヶ月間、内服継続しているが明らかな出血イベントなく経過している。【考察】ダビガトランの市販後調査により重篤な出血事象を来たす症例の特徴が明らかになりつつあり、高齢者、腎機能低下症例などがリスクファクターと考えられている。自験例はそれらの特徴に合致する症例と考えられた。その一方で出血事象は投与開始後早期(数ヶ月以内)に発現する傾向にあるとされているが自験例は処方開始から7ヶ月と比較的長い経過を経て出血を来たした点で興味深い症例と考えられた。【結語】今回我々は長期にわたってフォローしていたダビガトラン内服患者に見られた上部消化管出血症例を経験したため若干の文献的報告を交えて発表する。
索引用語 ダビガトラン, 消化管出血