セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年迄)

タイトル Y4-4:

関節リウマチに対するエタネルセプト使用中にクローン病を発症した一例

演者 義間 大也(大阪市立大学 医学部 消化器内科)
共同演者 野口 篤志(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 萩原 良恵(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 森本 謙一(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 宮嵜 孝子(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 鎌田 紀子(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 十河 光栄(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 山上 博一(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 渡辺 憲治(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 富永 和作(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 渡辺 俊雄(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 藤原 靖弘(大阪市立大学 医学部 消化器内科), 荒川 哲男(大阪市立大学 医学部 消化器内科)
抄録 【症例】40歳代、女性。2007年12月頃から母趾の痛みを自覚、徐々に進行した関節リウマチに対して2008年末頃より近医にて内服加療開始されたが症状改善乏しく当院整形外科へ紹介受診となった。前医より使用していたメソトレキサートの増量を行ったが関節痛の改善乏しかったため、2010年1月6日より抗TNF-α療法であるエタネルセプトの併用を開始したところ治療効果良好であり、以後当院整形外科にて外来定期通院中であった。2012年2月初旬より水様性下痢7~8行/日が生じた。腹痛、血便は伴わなかった。整腸剤にて様子をみていたが軽快せず、6月初旬に当科外来を紹介受診となった。症状の自然寛解、再燃を繰り返したため原因精査目的に8月2日下部消化管内視鏡検査施行したところ、盲腸から下行結腸に縦走潰瘍を含む小潰瘍の多発を認めた。組織生検にて非乾酪性肉芽腫を認めクローン病の診断に至った。8月27日よりエタネルセプトを抗TNF-α抗体であるアダリムマブに変更したところ、下痢回数の減少を認めた。関節リウマチ症状の増悪の増悪は認めなかった。治療効果判定の2013年3月28日の下部消化管内視鏡検査では前回指摘された多発潰瘍の消失、縦走潰瘍の瘢痕化を認めた。治療は著効と判断した。【考察】今回我々は関節リウマチに対する抗TNF-α受容体製剤であるエタネルセプト使用中にクローン病を発症し、抗TNF-αモノクローナル抗体製剤であるアダリムマブに変更したところ関節リウマチ、クローン病両者の病勢コントロールを行うことができた一例を経験した。エタネルセプトはクローン病に対して無効であること、また、リウマチ性疾患に対するエタネルセプト使用中にクローン病を含めた炎症性腸疾患の発症がこれまでに報告されており、文献的考察を加えて報告する
索引用語 クローン病, エタネルセプト