セッション情報 一般演題

タイトル 50:

腹痛を契機に発見された腹腔内原発Ewing肉腫の1例

演者 山田 光成(近畿大学医学部附属病院 消化器内科)
共同演者 樫田 博史(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 松井  繁長(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 櫻井 俊治(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 朝隈 豊(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 永田 嘉昭(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 川崎 正憲(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 峯 宏明(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 永井 知行(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 高山 政樹(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 足立 哲平(近畿大学医学部附属病院 消化器内科), 肥田 仁一(近畿大学医学部附属病院 外科), 武本 昌子(近畿大学医学部附属病院 外科), 仁科 慎一(近畿大学医学部附属病院 腫瘍内科), ●らい 晋也(近畿大学医学部附属病院 血液膠原病内科), 前西 修(近畿大学医学部附属病院 病院病理部), 佐藤 隆夫(近畿大学医学部附属病院 病院病理部)
抄録 【症例】30歳、男性【主訴】左側腹部痛【既往歴】特記すべきことなし【現病歴】1か月以上続く腹痛のため近医受診し腹部レントゲンでは異常を認めず、精査のために当院に紹介された。【理学所見および検査所見】腹部軟、左側腹部に軽度の圧痛あり、反跳圧痛なし。腸蠕動音は低下していた。血液検査ではRBC 526×104/μL、HGB 15.1g/dLと貧血を認めず、CRP 19.4mg/dL、WBC 11600/μLと炎症反応を認めた。腹部CT検査では結腸脾弯曲部に径9.5cm大の巨大腫瘤と肝臓に多発する低吸収域を認めたため大腸癌と多発性肝転移が疑われ精査加療目的に入院となった。上部内視鏡検査では異常を認めなかった。腫瘍マーカーはNSE 51.5ng/mLとsIL-2R 645U/mLのみ高値を示した。下部内視鏡検査では脾弯曲部に高度の狭窄を認め、粘膜下腫瘍や壁外からの圧排を疑わせる所見であったが、一部に潰瘍を形成していた。同部位からの生検を繰り返した結果、腫瘍組織が採取された。H-E染色では大腸粘膜上皮には異型性を認めず、間質にN/C比の高い異型細胞を少数認める所見であり、診断が困難であった。免疫染色では上皮性マーカーのAE1/AE3(-)、EMA(-)、CAM5.2(-)、リンパ腫マーカーのLCA(-)で、vimentin(+)であった。小型円形腫瘍細胞の鑑別でS-100(-)、desmin(-)、Mif-4(-)、SMA(-)、myogenin(-)、SrA(-)、CD138(-)、NSE(-)、CD56(-)であるが、CD99(+)であった。以上の結果からEwing sarcoma family of tumorと診断した。FDG-PET/CTを施行し左上腹部の巨大腫瘍、肝内腫瘍、傍大動脈リンパ節にFDG集積亢進を認めた。【経過】入院精査中にイレウスを生じたため経鼻的にイレウス管を留置した。腫瘍の急速な進行により手術困難と判断し、第21病日より化学療法(vincristine 2mg、doxorubicine 75mg/m2 、cyclophosphamide 1200mg/m2 )開始した。しかし軽快なく、1クール25日目に永眠された。【結語】今回我々は腹痛を契機に発見された腹腔内Ewing肉腫の症例を経験した。腹腔内原発Ewing肉腫は本邦でも報告が少なく稀な疾患であるため、文献的考察を加え報告する。
索引用語 Ewing肉腫, 腫瘍