セッション情報 シンポジウム2 「原因不明消化管出血の診断と治療の最前線」

タイトル S2-04:

当院における潜在性原因不明消化管出血症例に対する診断の現状

演者 小野澤 由里子(京都府立医科大学 消化器内科)
共同演者 半田 修(京都府立医科大学 消化器内科), 八木 信明(京都府立医科大学 消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学 消化器内科)
抄録 【背景】原因不明の消化管出血(OGIB)症例の責任病変診断率向上を目指して、当院では顕在性OGIB症例に対する緊急カプセル小腸内視鏡検査(緊急CE)を行い、その有用性を報告してきた。しかし、潜在性OGIB症例に対する診断ならびに治療については検討が不十分であった。
【目的】潜在性OGIBの最終診断に至るまでの経過と問題点を検討し、潜在性OGIBに対する効果的な診断ストラテジーを確立することを目的とした。
【対象/方法】2008年1月から2011年12月までにOGIBに対して当院でCEを施行した285症例のうち、顕在性OGIB(85症例)、潜在性OGIB(200症例)について、CE診断を比較検討するとともに、ダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)も併用した症例について最終診断を比較し、潜在性OGIBの診断における効果的なストラテジーを探った。
【結果】顕在性OGIBのカプセル内視鏡検査では75%で所見を認めたが、潜在性OGIBでも約63%に所見を認めた。顕在性OGIBでも潜在性OGIBでも粘膜病変が最多で約3割に病変を認めた。顕在性OGIBに比べて潜在性OGIBの診断としては、血管性病変や小腸外病変が少なく、腫瘍性病変や消化管寄生虫が多かった。潜在性OGIB症例においてDBEを施行した症例を検討したところ、CEとDBEによる診断の一致率は53%であった。また、DBEに比しCEでは色調変化を伴う小病変や微小出血性病変に対し優位であるが、メッケル憩室や表面性状の色調変化を伴わない腫瘍の診断では注意が必要であると考えられた。
【結論】潜在性OGIBの診断においてもCEは有用であり、積極的におこなわれるべき方法であるが、その欠点を勘案しながらDBEと組み合わせて用いることが大切である。
索引用語 潜在性原因不明消化管出血, カプセル内視鏡