セッション情報 シンポジウム2 「原因不明消化管出血の診断と治療の最前線」

タイトル S2-06:

当院における原因不明消化管出血の現状

演者 堀江 真以(大阪警察病院 内科)
共同演者 山口 真二郎(大阪警察病院 内科), 尾下 正秀(大阪警察病院 内科)
抄録 【目的】カプセル内視鏡(CE)とダブルバルーン内視鏡(DBE)の普及により原因不明消化管出血(OGIB)に対する診断・治療の精度は向上したが、いまだストラテジーは確立されていない。当院ではOGIBに対して可能な限りCE検査を施行し、必要に応じてDBEにて診断・治療を行っている。今回我々は、当院におけるOGIBの現状について検討した。
【対象・方法】当院において2010年4月から2013年5月までにDBEを施行したOGIB症例69例を対象とし、顕在性出血(Overt)群、潜在性出血(Occult)群 の2群に分け、平均年齢、性別、CE・DBEの有所見率、疾患の内訳などについて検討した。
【成績】Overt群 53例(平均年齢60.5±17.7歳、男:女=35:18)、Occult群 16例(平均年齢60.4±18.1歳、男:女=11:5)それぞれにおけるDBEの有所見率は、67.9%(36/53)、68.8%(11/16)であった。疾患の内訳は、Overt群でびらん・潰瘍性病変は47.2%(17/36)、血管性病変は19.4%(7/36)、腫瘍性病変は16.7%(6/36)、その他は小腸外病変5例、メッケル憩室1例であった。Occult群では、びらん・潰瘍性病変は18.2%(2/11)、血管性病変は36.4%(4/11)、腫瘍性病変は36.4%(4/11)、小腸外病変は1例であった。DBE前にCEを施行したのは43例(62.3%)で、そのうち34例(79.1%)(Overt24/33(72.7%)、Occult10/10(100%))に異常所見を認めていた。CEとDBEの所見一致率は60.5%(26/43)であった。診断後、再出血した症例は11例で、そのうち45.5%(5/11)が低容量アスピリン(LDA)の中止が困難なLDA起因性小腸炎が原因であった。
【結論】当院ではOGIBに対してDBEを積極的に施行しており、CEと併用することにより、DBEは顕在性・潜在性の消化管出血の診断に有用であった。
索引用語 消化管出血, カプセル内視鏡 小腸内視鏡