セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F3-01:エンテカビル耐性変異によりviral breakthroughを認めたB型慢性肝疾患の2例 |
演者 | 中川 健太郎(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科) |
共同演者 | 外山 隆(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 福富 啓祐(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 木村 圭一(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 杉本 彩(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 日比野 賢嗣(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 坂根 貞嗣(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 田村 猛(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 岩崎 哲也(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 岩崎 竜一朗(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 長谷川 裕子(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 山田 拓哉(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 榊原 祐子(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 中水流 正一(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 石田 永(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科), 三田 英治(国立病院機構大阪医療センター 消化器内科) |
抄録 | 【症例1】65歳、男性。1981年頃に感冒罹患時にHBV感染が判明し、以後、近医に通院していた。2006年6月にB型肝硬変の治療のため、当科を初診し、2006年10月よりエンテカビル0.5 mg/dayの投与を開始した。開始時、ALT 51 IU/L、HBe抗原陽性、HBV-DNA 6.0 log CP/mL、またHBV genotype Cであった。2007年1月以降HBV-DNAは測定感度下限未満となり、2007年11月にはセロコンバージョンを認めた。2012年9月にHBV-DNAが2.5 log CP/mLと上昇し、2013年4月に3.1 log CP/mL、7月に5.9 log CP/mLとviral breakthroughが出現し、9月にはALT値の上昇(132 IU/L)も認めた。INNO-LiPA法にて、180M、204V、250Mの変異を認めた。 【症例2】56歳、女性。1984年の出産時にHBV感染を指摘されたが、定期的なフォローは受けていなかった。毎年の健診で肝機能は正常範囲であったが、2007年の社内健診でHBs抗原陽性と、ALT値の上昇を指摘され、B型慢性肝炎の診断で2007年2月20日に当科を初診し、2007年3月よりエンテカビル0.5 mg/dayの投与を開始した。開始時、ALT 98 IU/L、HBe抗原陽性、HBV-DNA >7.6 log CP/mL、HBV genotype Cであった。2008年3月にHBV-DNAは3.2 log CP/mLまで低下したが、その後徐々に上昇し、2010年3月に4.4 log CP/mL 、2011年1月に8.0 log CP/mLとviral breakthroughが出現し、ALT値の上昇も認めた。INNO-LiPA法にて、180M、204V、202Gの変異を認めた。 【考察】現在、エンテカビルはB型肝炎の核酸アナログ治療で、初回投与例に対する第一選択薬となっており、わが国でも多くの症例にエンテカビル治療が行われている。一般にエンテカビルは他の核酸アナログ製剤であるラミブジンやアデホビルに比べて耐性株の出現する確率は低く、2年で1%以下であると言われている。今回、当院にてエンテカビル治療中に耐性変異を生じた2例を経験したため、文献的考察をまじえて報告する。 |
索引用語 | B型肝炎, エンテカビル耐性 |