セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F3-02:アデホビル減量後の経時的な腎機能と骨代謝マーカーの推移を観察したFanconi症候群の一例 |
演者 | 新海 数馬(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター) |
共同演者 | 坂根 貞嗣(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 福富 啓祐(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 木村 圭一(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 杉本 彩(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 日比野 賢嗣(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 田村 猛(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 岩崎 哲也(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 岩崎 竜一朗(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 長谷川 裕子(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 榊原 祐子(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 山田 拓哉(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 外山 隆(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 中水流 正一(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 石田 永(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター), 三田 英治(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター) |
抄録 | 【症例】60歳代、女性 【現病歴】B型慢性肝炎に対し、ラミブジン(LAM)内服を継続していた。2009年2月、viral breakthroughを認めたため、LAM100mg/日に加えアデホビル(ADV)10mg内服を開始した。開始時の推定GFR値(eGFR)は76ml/min/1.73m2であった。2010年6月以降、HBV-DNAは検出感度未満で経過した。2012年2月に股関節痛を認め、右大腿骨頚部骨折と診断された。同7月に多発肋骨骨折を認め、8月には無症候性の左大腿骨頚部骨折を認めた。この時eGFRが35mL/minまで低下していたため、精査加療目的に入院となった。 【入院後経過】入院時、血清P値1.4mg/dL, 血清UA値1.6mg/dLと著明低値であり、尿中UA排泄率43.4%、尿中P排泄量460mg/日と尿酸、リンの尿中排泄の増加を認めた。尿中β2MG 80.5 g/mL、尿中NAG 17.6 U/Lから尿細管障害による腎機能低下が疑われた。骨シンチでは各肋骨、胸腰椎、左右大腿頚部など、骨折部位を含め全身に多数の異常集積を認めた。血清ALP 531 IU/L、骨型ALP 64.0 μg/L、尿中1型コラーゲン架橋N-テロペプチド(尿中NTx) 230 nmolBCE/mmolCREと骨代謝マーカーは高値で、全身性の骨折はADVによる薬剤性Fanconi症候群が原因で発症した成人骨軟化症によるものと診断した。LAMは50mg/日に減量、ADVは10mgを4日に1回内服に減量した。また、アルファカルシドール0.5μg/日の内服を行った。毎月HBV-DNAと共に上記の尿細管障害マーカーと骨代謝マーカーを測定し、その後1年間の経時的推移を追った。骨シンチは3ヵ月毎に測定した。eGFRは6ヵ月目までは緩やかに改善を認めたが、以後は横ばいで経過し、1年後の値は47mL/minであった。尿中UA排泄率と尿中β2MG、尿NAGについては、6ヶ月目までは順調な改善を認めたが、以後は横ばいで経過した。一方、血清ALP、骨型ALP、尿中NTxについては継続的な改善を認め、1年後にほぼ正常化した。骨シンチでは経時的に集積部位の減少と自覚症状の軽減を認めた。 【結語】ADVによる薬剤性Fanconi症候群に対し、ADVの減量を行い、以後の経時的な各マーカーの推移を追跡し得た一例を経験した。 |
索引用語 | アデホビル, Fanconi症候群 |